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青いポインセチアの花言葉 15
二十分後、大学のキャンパスに向かってひた走る自転車が一台。私を後ろの荷台に乗せて、大はヒイヒイと喘ぎながらペダルを漕いでいた。
「無理しなくてもタクシーを呼んだのに」
「いいから、いいから。こうやって二人乗りしてみたかったんだ」
まるで交際を始めたばかりの中学生のカップルみたいではないか。いい大人がやるにはあまりにも気恥ずかしいが、それが無理な背伸びを続けていた大の本心だと思うと、つき合ってやるしかない。
昨日の雨模様とは打って変わって、爽やかな青空が広がっている。頬を撫でる風も心地よく、このまま海へとエスケープしたい気持ちにかられた。
青い空、青い海、青い──
あのさ、と大は照れ臭そうに告げた。
「将来、青いポインセチアが出来たら、真っ先に準一に贈るよ。『大より愛を込めて』のカードつきでね」
「楽しみに待ってるよ」
愛を込めてとは、相変わらず古臭くて甘ったるい口説き文句を使ってくれるではないか。それでもしばし幸せな気分に浸る。
だが、そこでとどめておけばいいのに、私の指導者根性が甘い雰囲気に水を注した。
「そういう開発ができる立派な研究者になるために、今はしっかり勉……」
そこまで言いかけて、私は目を剥いた。
「文献はどうした? 今日はキミを当番に指名したはずじゃなかったのか?」
「……忘れてた」
「何だってーっ!」
──了
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