自分自身この顔に似合わず‥‥ と、思ってはいるが あの可愛いさ あのつぶらな瞳 モフモフした毛に柔らかい肉球 どこを取っても、虜にならない訳がない でもその想いはいつも一方通行‥‥ 引っ掻くわ、噛まれるわ、逃げられるわ‥‥ （また触れなかった） 目付きが悪いのは分かってはいるが 赤く爪痕が残った手を見て、ヘコむ 動物にも例外は無いのかと‥‥ 「くくくッ」 「テメェいつまで笑ってやがるゴラァァァ！」 「ハハハッ悪い、悪い‥‥」 楽しそうに笑う乃木に苛立ちが募る そんな目に涙を浮かべた乃木が 「なぁ、家来るか？」 あろう事かそんな事を口にしてきた 「は？はぁあああ！？馬鹿かテメェ行く訳‥」 「ネコ」 「へ？」 「いるぞ、俺ん家」 ニコニコと微笑む男前の面 ネコのワードを出されて、いつものようにすぐさま跳ね除ける事が出来ない そんな俺の心情を察知したかのように、乃木がまた 「いくらでも触れるぞ？抱っこ、ほお擦りし放題」 「なッ！？……だ、誰が行くかッ行きたくもねぇ‥」 なんて魅力的な事を！！ 本音は、行きたいッと喉から出そうになるが、つい売り言葉に買い言葉 素直に頷ける訳もいかずにいた所を… 「ハハハッ、そうか行きたいか！」 　 「は？痛ッ、テメェェェ」 ギリギリと力いっぱいの腕力でもって腕を掴まれて悲鳴をあげる 「そんなに嬉しいか神谷！」 「～～なッにィィィ！？」 「恥ずかしがるなって俺とお前の仲だろ？さぁ行こうハハハハッ」 「て、テメェェェェ、引っ張るな、何、勝手に行こうとしてやがる」 「ん？お菓子買って行きたいのか？しょうがないな、神谷は！よし、３００円までだぞ」 目一杯力を込めて引き剥がそうとしているのに馬鹿みたいな力で掴む手を ズルズルと引きずられる様にして連れて行かれる羽目になってしまった