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第十四話

保健室でお昼ご飯だとフェラをさせられてから、俺は大神に連れられてまた嫌な記憶が残る大神の部屋に来てしまった。寝かされているのは前の部屋ではなく普通の寝室だった。朝はそこまでひどくはなかったが、四限目以降急に体調が悪くなった気がする。 「大神…俺、自分の部屋に戻る…」 こんな所にいたら何をされるか分かったもんじゃない。早くこんな男からは離れないと。 「何言ってるの。こんな体調の悪そうな人、一人になんて出来ないよ」 そう言うと大神は部屋から出て行った。 この部屋は前に連れてこられた部屋とは違う。家具は違えど自分の部屋と間取りはほぼ同じ。なのに、大神の部屋だというだけでここまでおびえる自分が情けない。 扉が閉る音がした。大神がこの部屋から出て行ったのだろう。また逃げだそうか。そう思ったが体を動かすことが出来なかった。風邪なんて今まで引いたのはいつぶりだろう。 風邪を引いたとき誰かに看病してもらった記憶はない。母親は俺が幼いときに父親の暴力に耐えきれず俺を捨てて家を出て行った。父親の元に残された俺はずっと父親からの暴力に耐えていた。やっとあの家から解放されたのに…また俺は縛られるのか…? 「食堂でおかゆ作ってもらってきたよ。これ食べて薬飲んで今日はゆっくりお休み」 「なんで…」 いつの間にかベットのすみに座っていた大神に俺は重たい体を起こして質問した。 こいつは俺にあんなことをしてきた人間だ。それなのになぜ急に優しくするのかわからい。 「ぼくが何かするんじゃないかっ疑ってるの?」 「い、いやそういうわけじゃ…」 図星だ。でも正直にそうだというのは怖い。しどろもどろしている俺に大神は手を伸ばしてきた。 「あっ…」 反射的に伸ばされた大神の手をはたいてしまった。自分に向けられる全ての手がよこしまな思いを抱いて居るわけじゃないのに今日の俺は…。本当に自分が情けない。 「大丈夫。ぼくは君を壊したいわけじゃない。今はゆっくり休んでいて」 大神はもう一度俺に手を伸ばし、頬に触れいとおしそうに俺を見つめる。 俺に強姦まがいのことをした男、それなのにあまりにも優しい目を向けてくるから、調子が狂う。 「ここにおかゆと薬置いておくからきちんと飲んでおいてね。ぼくはいちど学校に戻るよ」 大神がまた部屋から出て行った。俺は大神が用意してくれたおかゆを食べて薬を飲んでそのまま大神のベットで眠りについた。 ガチャ(扉の音) 「あんなことした男のベットでこんなにぐっすり眠れるなんて、律は本当に無防備だね。早くぼくのもとに落ちておいで、律」

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