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Prologue-1
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その日の空はスカッと抜けるような綺麗なブルーで、優斗が見上げると雲一つなく、しんと静まり返っているようだった。
急にばらばらばら・・と音を立ててヘリコプターが空を横切って行った。
「煩い。せっかく静かだったのにな」
優斗はがっかりして空を見るのを止めた。
「ん……?」
……その時、どこかで誰かを呼ぶような声が聞こえた気がした。
優斗は一瞬立ち止まった。だけどそれは一瞬の事で気の所為だろうと思いなおしてそこから離れた。
……
……
山内 優斗 は都内の某高校2年のごく普通の学生で兄弟とかはいなく一人っ子で、両親ともに海外と日本とで飛び回るように仕事をしている。だから両親は家にずっといる事は無かった。優斗が小さいうちは、祖母が面倒を見てくれていたけれどもその祖母も優斗が中学の卒業間際に亡くなってしまった。
それから1人暮らしなような生活を続けている。
両親もずっと海外にいるわけではなく、1ヶ月に何回かは帰ってくるので、完全に1人暮らしというわけではない。
母親は優斗が1人暮らしになるというので、心配して、高校は寮にしたほうがいいとか言っていた。だけど、寮のある高校は私立で何処も高い授業料だったり、高額な寄付金とかも必要だったりして……。
それを知った母親は
「優斗はもう高校生だから大丈夫よね」
手のひらを返すような事を言いだした。
「そりゃ、最初から1人暮らしとかするつもりだったから・・・ってか勝手にかあさんが寮にしなくちゃって言ってただけだろ?」
優斗は不満げに言い返した。
「何?勝手にとか?おかあさんはあなたが心配だからなのに」
「……わかってる。寮は俺は最初から入るつもりはなかったんだよ。だって窮屈そうだし」
そんなやりとりがあった1年前。
優斗は無事、都立の高校へ入学した。
そして、2年になった今では優斗は1人暮らしも慣れてきて逆に両親が帰ってきた日は煩くってたまらなかった。
……
……
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