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オマケのオマケ

 抵抗はされなかった。  わかっていた。  それまでも、最後まではさすがにしなかったが、野営している間も夜になったらまあ、それなりには楽しんだのだ。  太ももの間や尻、そして、あのたどたどしい指に擦らせたりして。  王子は大人しく従った。    触る度に震えはしたが。  でもまあ野営でそこまでは出来なかった。  男が臨むほどは。  盗賊などにも気を使わないといけないし。  酷く犯した身体を休めてやる必要もあった。  だがここは。  馴染みの宿だ。  ここなら安心だ。  女将を助けてやったことがあるし、王子の顔も見せてない。  背の高い貴族の女でも拐かしてきたと思っているだろうだろうが。  いくらフードのついたマントで隠しても、陽からさえ守られ育てられた皮膚の白さは隠し切れないからだ。  身分のそぐわない者を連れているのは目立って面倒だが、こればかりはどうにもならない。  気をつけなければ。    だがやっとだ。  男は待ちきれず、王子を寝台に押し倒し、服を剥いでいく。   そう、抵抗はされなかった。  まっ白な肌に目を細めた。  これが自分のものだと思えばたまらなかった。  ほぼ無毛の身体に薄く生えた金の陰毛、そして、ピンクの性器さえ、可愛い。  まだ咥えてやったことはなかったな、と思い至る。  コイツは一生女相手に使うこともないのだし。  たまには口でしてやってもいい。  男を抱く時はあくまでも女の代わりだった。  だからそんな真似はしたことがなかったのだが。    王子なら、咥えてもいい。  今まで男を抱くのは綺麗で可愛いければ、まあ、ついていてもいいくらいのものだった。  後ろの穴さえよければ。  後ろなら女のも男のも変わらない、そういうものだった。  だけど、コイツ相手だと。  妙な話だが、  男だけど、いや、男だから、いい。  そう思えてしまうのは自分でもヤバいと思った。    夢中になって全部脱がせて、気付く。  足の先とかかとに豆ができて、つぷれていた。  血がにじんでいた。    不意に欲望よりも、哀れさが勝った。    それほど歩かせたつもりはなかったし、思いやったつもりだった。  でも、山道など歩いたこともなかったのだ。  この王子は。  だが。  王子は何も言わず、態度にさえ出さなかった。  「・・・こうなる前に、言え」  男はのしかかっていた王子から身体を離した。  そして浴室に王子を抱えていった。  汚れを落とすなど、どうでも良かったのだが、今すぐただただ犯したかったのだが、何故か醒めた。     この宿屋では常に湯は沸かされていて、木の取っ手を捻れば風呂へと流れこむような仕組みになっている。  浸かる程の量は宿にとって大変なので、湯おけに湯を貯め、身体を流して洗うのだ。  流したお湯は、下水管をとおり、川に流る。    男は自分も服を脱ぎ、まずは王子を、そして自分を洗った。    王子は洗われることを当然のように受け入れた。    服の着方も教えてやらねば知らなかったのだ。    苦笑いする。  どちらが奴隷だかわかったもんじゃない。  髪まで綺麗に洗ってやった。  女将が香油を浴室に置いていた。  貴族の女だと思って期を使ったのだろう。  だが、髪や肌に丹念にすり込んでやった。  外界では、この肌や髪は・・・傷ついてしまうのではないのか。  不意に不安になった。  手早く自分を洗う。  そしてその間、王子は無邪気に男の傷痕だらけの身体をみていた。  無遠慮に性器も見ている。  自分の身体を見せてはならないとは教えられてきたが、他人の身体を見てはならないとは知らないのだ。  ため息が出た。  洗い終わると自分と王子の身体を拭き、寝台へ王子を抱えていく。    まずは王子の足の手当てをした。   傷口に薬を塗り、綺麗な布を巻いた。  「ありがとう」  王子は素直に口にした。  お礼を言うことも教えたばかりだ。  お礼を言うという概念すらなかったのだ。  「ちゃんと言え。こうなる前に」  男の言葉に王子は頷いた。  王子は。  今まで血を流したことすらない王子は。  必死なのだ。  生きれるようになりたいと。  たとえ奴隷であっても、と。  馬は連れていけない山道を、それでもこのか弱い身体で超えたのだ。  生きるために。    抱きしめてしまった理由はわからない。  でもやりたいことはわかっていた。  「今日はとことんやるからな」  白い首筋を強く噛んだ。  「ううっ」  痛みに喘ぐ声。  それだけで勃起した。  この身体は。   オレのものだ。  香油で穴を解した。  こういうのはまた、買っておかないと。  男を抱くのは・・・色々面倒だが仕方ない。  壊すわけにはいかない。    少しでも肌を離したくなくて、背後から抱きしめてたまま、穴に指を挿れて解す。  まっ白な肌は滑らかで、その全てに触れたくなる。    「ああっ・・・いいっ」  声を殺すことも知らないってのはいいことだ。  王子はもう鳴いているし、気持ちよければどう言えばいいかも知っている。    「ここが好きなんだろ?」  中にある凝りを指で擦ってやる。  王子のそこは、わかりやすい。  「好きぃ」  泣いた。  もう勃起させて、先から雫までたらして。  可愛くなる。  穴が欲しがるように指を絞ってきた。  女のでもこんなに欲しがらない。  「いい子だ」  キスしたくなる。  でもしない。    キスしたことない唇は。  このままでいい。  でも。  腹の奥の奥まで犯してやる。    うつぶせにして寝かせた。  そして、ゆっくりと挿れていく。  手酷く犯してから、まだ一週間もたってないが、指を使ってイカせてたが、穴はまだ狭い。  ここからもっとこの穴を使いこまないといけない。  「あぐっ」   身体の下で王子の身体が強張った。  辛いのか。   深く入っていくから。    でも強引に静めていく。  シーツをつかみ耐えて震える身体を哀れに思いながらも、止めない。  奥まで犯したい。  コレは。  コレはオレのだ。     深く入るためだけに犯した。  奥のそこをこじ開けねじ込んだ。  グプグプとそこを味わう。  吸い付くようなそこはたまらなく気持ち良かったが、何より、奥まで自分のものにした征服感がたまらなかった。  「オレの・・・オレのだ」  首筋を血が滲むまで噛んだ。  激しすぎる感覚に、王子は痙攣して耐えていた。  呼気だけがもれる。  笛のように。    耐えているのだ。    これは苦痛でしかない。  慣れない身体には。  こんな奥など。  前のように媚薬を盛っているわけではないのだ。  それをわかっていて。  でも男はそこ犯すのを止められない。    痛みを感じる身体が、男のものを締め付けてくる。  その苦痛さえ良かった。  自分だけのモノだと思えて。  顔を強引に後ろに向かす。  思ったとおり、青い瞳はさらに青色を増していた。    苦痛に歪む顔がたまらなかった。  「可哀想なお前ってめちゃくちゃクるな。そのうちここも気持ちよくなる」  男は王子の耳に言葉を注ぎ込む。    奥を強く突き上げた。    「ぐぅ」    王子は呻いて、とうとう意識を飛ばした。  男は笑った。  笑った。  可愛いそうで、可愛くて、気持ちよくて、自分ので。  笑わずにはいられなかった。  もう我慢できなかった。  奥に注ぎ込んだ。    下半身が溶けるかと思った。  こんなに興奮して射精するなんて。  おぼえたての頃みたいにコイツを抱いてからは獣みたいになる。  キスしたくて、それを耐えて、首筋を吸った。  コイツの舌が喰いたい。   唾液が飲みたい。  唇をすって、歯列から喉ちかくまで舐めてやりたい。  口蓋の上を舐めたら感じるはずだ。  でも、諦める。  コイツはオレのだ。  でも、だからこそ。  ぜんぶ奪っちゃいけない  自分でもそんなことにどんな意味があるとも思えない。  でも。  犯しているけど。  犯したけれど。  犯したくはなかったのだ。  このまっ白すぎる身体を。    気を失いだらんとなった身体を繋がったまま仰向けた。    なすがままに身体は転がった。  目を開いたまま気絶していた。  こうなった時の、目の青さは狂おしいほど美しい。  こぼれたままの涙を指で拭った。    脚を押し広げて、のしかかる。    気を失っていても関係なかった。  だって。  これはオレのだ。  思い切り突き上げた。  奥まで緩ませた穴は気持ち良かった。  「ひぐっ」  衝撃に王子が目を覚ましたから、余計に良かった。  寝ていてもかまわないが、起きている方がいい。  でも。  毎晩指でイカせていたところを擦ってやった。  ゆっくりと。  今日はデカい性器で。  目を覚まし、強張った身体が蕩けはじめた。    「いいっ・・・気持ちいいっ」  涎を垂らしながら言う。  「ホント慎みがねぇな、お前は」  笑った。  何も知らないから。    慎みもない。  自分から腰まで振ってくる。  無意識ではあっても。  「ゴリゴリしてやろうか、ここ」  青い目に無心に見つめられて、声が甘くなる。  「ゴリゴリしてぇ」  舌足らずに言われたら、おかしくなりそうだった。  ますます硬くなったそれで、王子の中の凝りを擦ってやった。    穴をひろげられ、ゴリゴリと擦られるのに、王子は喜んで声を上げた。  「いいっ・・・ゴリゴリ好きぃ」   王子は身体をよじって喜んだ。  でも。  その腕は男を求めない。  しがみつきはしない。  シーツを掴んで握りしめても。  それに舌打ちする。  そんなことを、望むのが間違いなのに。  大勢の目の前で犯して、屈辱を与えたのだ。    憎まれていて当然なのだ。  王子が何も知らないから。  自分が何をされたかをある意味全くわかっていないから、王子は怯えはしても、自分を嫌っていないのに。  王子には。  聖王としての身体を汚された、以上の意味がわかってないのだ。  あの卑劣な行為の意味さえ。  本当にはわかって。  ない。  何も知らない子供、  何も。  それを引き裂い、た。   男は今度は自分に舌打ちした。  どうだっていい。  この身体が良いだけだろ。  この身体が気に入っただけだろ。  乳首を尖らせ、男に穴をほじられて前を勃てる、ヤらしい身体が気持ちよかっただけだろ。  男は自分に言う。  でも、今度は優しく王子をイカせてやった。  王子の好きな場所を沢山突いて。    王子が好きなように。    切ない声で王子が達するのを聞きながら、中に出した。   欲しがるように締まる穴も。  イカせる時が一番青い目も全部よかった。    しがみついてはくれないのがわかっていたから自分から抱きしめて、出しながらゆっくり動いた。  「よかったか?」  聞いた。  知りたかった。    どんな女にもそんな風には聞いたことはなかったのに。    「気持ち・・・いい」   素直な王子の素直な言葉に思わず頬が緩んだ。  「いっぱいシてやるよ・・・」  男の言葉に王子が怯えて顔をクシャクシャにするのが余計に顔を緩ませた。  もう終わりだと思っていたのだ。  野営中は、せいぜい二回イったら終わっていたのだ。  「・・・・・・終わるわけねーだろ、とことんお前を抱くって言っただろうが」    男はそれでもゆっくり抜いてやった。  抜く動きに一番感じるのを知っていた。  王子の身体はしなった。  泣きながら感じる姿がかわいすぎた。  だから、仕方ない  やめられない。  王子の胸がお気に入りだ。    毎晩吸ってる。  女の柔らかい胸がないのに、この胸がいい。  この乳首を弄るのが好きでたまらない。      だから、今日も味わっている。  甘く噛み、吸っていたらここはしだいに凝り始めるのた。  そうなったら舐めてやる。  尖った乳首を潰すように。  ここの味が好きだ。  舌触りも、唇に当たる感触も。  噛み舐め吸う。  「もうやめて」  王子はすすり泣く。  「挿れられるのが嫌だっていうから、こうしてやってるんじゃねーか」  男は鼻で笑った。  「挿れてぇ」  王子は泣く。   延々と胸だけを弄られ、勃起したそこは雫をながし続け、穴はひくついているのだろう。  胸だけでは足りないのだ。  素直だから、簡単に折れる。  そこが可愛いが、もっと可愛くしたくて、男は王子の胸だけを味わい続けた。  なんて可愛い、美味い。  「イキたいイキたいイキたいイキたい」  我慢のきかない王子が泣き叫ぶ。  その泣き声が、泣き顔がたまらないのだ。  噛んで吸う。   そして、反対側の乳首も指で扱いてやる。   指で擦り、先を撫でる。  ほら、性器のように。  口でなめあげ、唇で扱き、先をなめあげる。  そこは、性器だった。  性器なのだと教え込んだ。    だから。    王子はそこで射精した。    乳首を弄られるだけで。  「あああっ」  高い声をあげて、白い背中をそらして。  金髪が暗闇に輝き、瞳はあまりにも青い。  勃起した性器から迸らせて。  なんて可愛い。  いやらしい。  男は見つめる。  射精し、その後の余韻に震える身体を。  これは、  オレの。  オレのだ。  脚を担いだ。  王子がもう無理だと泣く。  無理なのはこっちだ。  止まるのが無理なのはこっちだ。  刺した。  穴は気持ちよく男を受け入れた。  自分の出したモノが溢れる場所に挿れるのは、何よりも幸せだった。  「挿れて欲しがってたじゃねーか」  男は王子に意地悪を言う。  そして、男は王子を噛まずにはいられなかった。  噛めば自分のものだと実感できるから。    可愛い。   可愛い胸を噛み、肩を噛んだ。    痛いと泣くくせに、王子はもう前を勃ててくる。     可愛い。  キスしたくて、耐えた。        そのかわり、好きなように動いた。  穴を存分に味わった。  どこもかしこも気持ちいい。  「気持ちいい、気持ちいい」  壊れたように叫ぶ王子の声が心地よい。  「そうか、気持ちいいか。オレもだ・・・」  だしたくなかった。  今は同じ気持ちだから。  ああ、気持ちいい。  何も考えなくていい。  髪を撫でた。  髪にキスをした。  沢山した。  唇には出来ないから。  「お願い・・・お願い・お願い」  おねだりされることを楽しんだ。  何度も何度もイカせてやった。  王子は出さずにイけるようになっていた。  王子のその時のその声と顔が、自分が射精するより好きなのだと自覚した。  自分にしがみつかない手を、男から繋いで犯した。    「もう無理・・・やめてぇ」    そう言われてもやめなかった。  だっていくから。  可愛いから。  意識を飛ばした後、その体にゆっくりと注ぎ込んだ。  もちろん、意識を失ってからもその身体で楽しんだ。  ぐったりとした身体は身体で、かわいかったからだ。    そして、とうとう満足して、その身体を抱きしめた時は夜が明けでいた。  王子のぬくもりを抱きしめる。    それが楽しかった。  もう満足したのに。  終わったのに。  今はもうその穴を使うつもりもないのに。    そして、気づく。  これが愛しいという感情であることを。  そして、皮肉に笑った。  意味のない感情だと思って。  でも、抱きしめていた。  自分からは抱きついてこない身体を。  身体、  身体だけでもいい。  オレのだ。  それは胸が痛かった。   それが切ないということなのをまだ男はわからなかった。  唇をなぞって我慢して。  代わりにまた、脚を担ぎ上げた。  まだやれそうだ。  もう一度して、寝て、王子が目がさめたらまたしよう。  身体だけはオレのだ。  それを教え込むんだ。  唇をなぞる。    耐える。  代わりにまた穴に自分を満たした。  「ごめん」  意識のない時にだけ言える言葉を囁いた。     でも。  お前はオレを許さないでいい。  男は胸の痛みをごまかすように、王子をまた犯しはじめた。       終わり     

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