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歯車は噛み合わない 11
伊藤が就職した病院は、実は和臣の志望大学の附属病院だった。
和臣の父親や兄をはじめ親族はその大学の出身者が多いとも言っていたので、間違いなく和臣もその大学に進学しているだろう。
就活中、技師として色々と学ぶなら大学病院だろうと思い、いくつか受けた。
でも、和臣の志望大学の附属病院だけは、募集要項は目にしたものの避けてしまったのだ。
伊藤がもしかしたら和臣と会ってるかもしれないと思ったが、たくさんいる学生のことなど、関わりがなかったらさほど覚えていないだろうと思い直し聞くのはやめた。
普段あまり考えないようにしているから、余計にこういった時に思いをはせてしまう。
どんな風に過ごしてきたのか。
今はどう過ごしているのか。
勉強は順調か。
医師への情熱は薄れていないか。
すると無性に会いたくなってしまう。
今さら会えないのだけど。
友人と談笑しながらふと視線を向けると、今度は視界に山田が入ってきた。
幸せそうにまだ目立たないお腹をさすっている様子が微笑ましい。
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