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歯車は噛み合わない 16
「……ふーん、いつもヘラヘラしてるし向いてるんじゃないか?」
まさかうちの病院にも来ることがあるんじゃないかと不安になった。
「病院ってどんなとこ行ってんの」
「総合病院とか多いかな。個人のクリニックなんかもあるけど」
「……大学病院とかは?」
「なに? 今日はやけに質問責めじゃん」
マサルがにやりと笑うので、不機嫌そうに視線を逸らせば今度はマサルの方が聞いてきた。
「そういうアキトはどんな仕事してるのか、そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
「……必要ないだろ」
「またそれかぁ。オレのことは聞いてくるくせに自分のことは教えないって我が儘だよね」
そう言いながらマサルはキッチンに行き、お茶をコップに注いで持ってきた。
そして俺の頬に軽く触れて、まっすぐに見つめてくる。
「ねぇ、ここら辺で真剣に付き合ってみない?」
「は?いきなり何だよ。冗談はよせ」
「オレは本気だよ? それにいきなりじゃない。オレの方は昔から本気だったよ」
その表情はいつものへらへらとした感じではなくて、調子が狂う。
「アキトはいつまで心を閉ざしていくのかなって心配になる」
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