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歯車は噛み合わない 17

「は? なんだよそれ!」 口調を強めたのは心が見透かされそうで怖かったからだ。 マサルはどこまで見据えて言っているのかわからず、こういう所が苦手だ。 「ねぇ、アキト。真剣に付き合おうよ。お試しでもいいよ?」 「そういうのはいらない」 「オレは、アキトにキスしてもいい男になりたいだけだけどね」 意味深に微笑みながらソファに押し倒されマサルの体の重みを感じた。 首筋に唇の柔らかさを感じると、次はねっとりとした舌の感触に変わる。 シャツの隙間から指を滑らせ撫でられながら、マサルはベルトに手をかけた。 体は快感を与えられれば反応して、次第に熱い吐息も漏れていく。 「んっ……ッ……」 快楽に思考が支配されていけば身悶えた。 でも、頭のどこかでは冷静に見ている自分がいて、今の自分を客観的に見ている。 こんな即物的な関係の癖になにが真剣にだ。 たった一人しか人生に意味を成す人なんていない俺には、真剣な付き合いなんてきっとできない。

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