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憂える胸を焦がす 2
ポリクリの担当は福田技師長なので、俺らは特に何もしなくていいのだが、やはり皆どこか落ち着かない。
その日俺は朝から技師長に資料の調達を頼まれていたので、いつもの朝礼の時間を少し過ぎてから検査事務室へと向かった。
ゆっくりとドアを開ければ朝礼は始まっていて、数人いるポリクリ生の最後の1人が挨拶しているところだった。
そして技師長が本日の予定を確認し朝礼が終わると、頼まれていた資料を渡すため技師長のもとへと歩いていく。
数人の技師とすれ違い、視界から1人2人と去っていくと、今まで人影に隠れていたこの班のポリクリ生は全員で4人だということがわかった。
そして資料を渡すために技師長に声をかける。
「技師長、頼まれていたもの持ってきました」
「ありがとう」
俺に背を向け立っていた4人のポリクリ生も技師長の声に反応して振り返ったが、特に顔を合わせることもせず資料を渡すと踵を返し、ポリクリ生たちに軽く会釈をして前を通りすぎた。
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