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憂える胸を焦がす 10

「バカなことばかり言うな」 そう言ってこの話を終わらせようとしても、和臣は面白がって続ける。 「ま、別に俺が女の子でもいいんだけど。それでも付き合ってくれるかは陽斗次第だよな」 「黙れって」 怪訝そうにする俺を見て、和臣はあははと豪快に笑いながら、頬杖をついてまっすぐに俺を見た。 「で、陽斗は付き合ってくれるの?」 「しつこいぞ」 楽しそうに笑う和臣は本当に変わっていない。 それに加えて、俺のメンタルの弱さも変わっていない。 大人になったと思っていた。 また会えた喜びと、言葉を交わせる充実感、目を合わせれば胸が高鳴って、親友としてそばにいたいと思う反面、どうしても欲張りな心が生まれて、それを必死で隠している。 でも、次に出会えたなら高望みも逃げもしないと誓ったんだ。 だから、見返りは最初から求めてないはずなのに。 これくらいのことで、へこむなんて……思春期かよ。 それから暫くして、終電が近くなったこともありお開きとなった。

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