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憂える胸を焦がす 11

和臣とは駅で別れて自分のマンションに向かう。 鍵を開けて電気をつけると同時に、クーラーをつけた。 そして朝、整えたベッドの上に倒れこむようにして天井を見上げる。 スマホにはいくつか着信とメールが入ってたが、チェックしながら返事をするのも億劫で、そのままローテーブルに投げる様に置いた。 目をつぶって体を丸めていると、不意に和臣の笑顔がよみがえってくる。 『一緒に病院作ろうな!』 中学の頃の和臣だ。 そして、今日の和臣も思い出していた。 そして次第に抑えていた欲望が湧き上がってくる。 女に生まれていたら、望むものを手に入れられていたのだろうか。 そんな想いが過れば過るほどに、叫びたい気分になった。 本当は好きになってほしいって。 愛されたいって。 想像の中の和臣は俺のことを愛おしそうに見つめてくれる。 その指に触れられたい。 その腕に抱き締められたい。 その唇でキスしてほしい。 そして俺に欲情してほしい。 俺は欲情する和臣の顔を知らないけれど、俺が思い描いたその視線が自分に向けられるのを想像するだけで、感情が高ぶり身震いした。

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