「答えろよ!!」 「陽斗から聞いたのは本当だよ」 「嘘だ。俺はお前に和臣の話はしていない」 「してたよ。何回も聞いた。名前だけだけどね」 「嘘だ！」 俺は自分のことすら殆ど話したことがないんだ。 だからなおさら和臣の話なんてするわけがないんだ。 話が見えず、頭痛すらしてきたころ、賢の目がいつものような笑顔のまま少し冷ややかになった気がした。 そんな時の、賢の声はよく通る。 「陽斗さ、俺に抱かれるときアイツを重ねていただろう？」 「……え？」 予想だにしなかったことに、思わず言葉に詰まった。 なんて言えばいいかわからなかったからだ。 「名前は何度も聞いていた。陽斗は言葉を噛み殺してるつもりでも無意識に呼んでいた。切なそうに何度も」 「…………」 「別に責めてるわけじゃないよ。ただ不毛な想いをしてると思ったら可哀想だと思った」 「…………同情か？」 絞り出した自分の声は、思いの外震えていて、悟られないように拳を強く握りこんだ。