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温もりが欲しいとか言えない 14
俯くとそっと頭を撫でられ、視線をむけると変わらずに賢は微笑んでいて、なんだか呆れてしまう。
「賢はさ、こんな不幸体質の俺なんかのどこがいいんだよ」
ため息をつきながら尋ねれば、賢は俺の頬を撫でて、目を細めた。
「出会ったときから、陽斗は世界が終わったような顔をしていた。その冷たい目が凄く綺麗だと思ったんだ」
「はぁ? 頭おかしいんじゃないか? 普通そんな死んだような目してるやつ好きになんかならないだろ」
そうかもね。と言いながら賢はクスクスと笑う。
「でもさ、陽斗は一度愛されることを知った方がいい」
「なんだよ、それ」
「カズオミが好きでも構わないよ。忘れろとは言わない」
「なんで?」
「忘れることが出来るのか?」
黙り混むと賢は少し寂しそうにも見えたが、柔らかく笑った。
「時間がかかるのは当たり前だろ。言ったろ? オレは陽斗にキスしていい男になりたいだけだよ。ただ少しだけ心を開いてよ」
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