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残酷さえも手放せない 6
「みんな勝手に言ってるだけで知らないよ」
「だったら余計に教えてほしい」
「なんで?」
理由を聞いても和臣には明確な理由なんてものはないらしく。
「なんか気になるんだよ。今までそんな素振りすら見せなかったくせに、好きな子いたとかさ。で、親友の俺がなんで知らなかったんだって」
「……なんだよ、それ」
和臣の言葉に深い意味はないのはわかっている。
子供じみた勝手な話だ。
それは自分だけが持っていて遊んでいたと思っていたおもちゃが、実は他の人も持っていたとわかったときに感じるような。そんなレベルの話なんだ。
そんなことは充分にわかっているはずなのに、思わず言葉につまってしまう。
期待するつもりも思い上がるつもりもないのに、気持ちだけが勝手に浮上して、現実的な思考にすぐ落とされる。
また俺はひとりで傷ついている。
ほんと、馬鹿みたいだ。
和臣は何も悪くないのに、それでも心のどこかでお前だってこの間の女性の話を俺にしないじゃないかとも思ってしまう。
勝手なのは、俺の方か……。
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