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残酷さえも手放せない 8

実は…、とか言ってあの夜の女性のことを切り出されでもしたら、また落ち込むくせに。 恐る恐る身構えながら和臣の反応を待っていたら、ぼそっと呟くような声が響いた。 「今はそんな余裕ないなぁ……」 その言葉に少しホッとしていると、和臣はなんとなく苦々しい声で続けた。 「俺さ、昔から試験前とか誰かといるの割りと煩わしく感じる方じゃん。だから今みたいな実習中なんて自分のことで精一杯で、他はとてもじゃないけど考えられないよ」 「そういうとこあったよな。じゃあ、俺も邪魔にならないように存在を消さなきゃな」 すると和臣は、何故かクスクスと楽しそうに笑った。 「いや、陽斗だけは別。それは昔からそうだった。陽斗といるのは楽だし、いるのが当たり前っていうか、逆に和むっていうか。だから辛いときほど頼っちゃうから迷惑かけてるのは俺の方」 「……迷惑とか思ったことなんてないけどな」 相変わらず眠そうな声をしていたけど、和臣がこんな話をするのは珍しくて驚いていた。 眠くて思わず口に出てしまったのだろうか。 すると、これが無防備な本心なのだろうか。

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