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残酷さえも手放せない 11
「あはは、ごめん。なんか俺、変だよな。これじゃ、まるで重い彼女みたいだ」
「なんだよ重い彼女って」
「色々聞きたがる重い系。でも、しょーがないよ。なんでか気になんだもん」
眠いからだろうか、聞いたこともない幼げな声と態度に、聞いてるこっちの気が抜けた。
「……賢は、初めて会ったとき下の名前しか名乗らなかったんだよ。名字とか知ったのも最近だし」
すると気のせいかもしれないけど、和臣の声色が少し変わった気がした。
でも、相変わらず眠そうな声だったけど。
「そっか…じゃあ、最初から名字まで知ってて下の名前で呼んでたのは俺だけか」
「それに何の意味があるんだよ。眠いんだろ。もう寝ろよ」
呆れながら言えば、「うん。重い彼女は寝るよ」と和臣は言う。
その冗談に笑うと、和臣もつられて笑った。
すると暫しの静寂の後、和臣は思い出したかのように、また呟いたんだ。
それは、何かを懐かしむような優しい声で。
静かに、部屋に響いた。
「俺さ。彼女いたときも、彼女といるより陽斗といた時間のが長かったよ……」
そこまで言うとスースーと規則正しい寝息が聞こえてきた。
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