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もの憂いげな純情 1
週末は一歩も外に出ずに過ごした。
しんとした部屋に時計の秒針の音だけが響き、時間は過ぎているのに体感はまるで無く、自分だけが時の闇に取り残されたような気がしていた。
和臣にはごめんって一言だけメールを送ったけど、それから返事はない。
自分でも、一体何に対して謝っているんだろうって思ったけど、ただ時が過ぎていくのをじっと待つことしか今は出来ない。
そして鉛のような気持ちを抱えたまま、仕事に向かう。
今日は心電図や肺機能検査などの担当で、相変わらず忙しい職場ではそんなことを考える暇すら持たずにいられるだろうと思っていたのだが。
その日、俺はあり得ない初歩的なミスをしてしまった。
「どうしたの? 野村くんらしくないね」
「すみません。以後気を付けます」
命に関わるようなミスじゃなかったのが幸いだったが、普段ならありえないようなミスだった。
こんなことではいけないと思うのに、心がふさぐ。
和臣のグループが検査部のポリクリを終えて、和臣と病院内で偶然会うことは皆無だった。
もう会うことは無いのだから、もう一度気を引き締めて仕事に取り掛からないと。
浮ついた気持ちで仕事に出てはいけないのは充分にわかっている。
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