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もの憂いげな純情 2
間違った手技では正確な検査結果が出せない。
これがもしエコー検査だったら、見落としてはいけない病変を見逃してしまいかねないし、輸血の交差適合試験だったら……他の検査だってそうだ。
そんなことを考えていたら、ゾッとした。
今回はたまたま大きな問題に発展しなかっただけで、命に関わる仕事をしてるんだ。
しっかりしろと、自分に言い聞かせる。
でも、ふせぎ込んだ気持ちが晴れることはなく、一層気を引き締め神経を張り詰めさせながら仕事する日々が続いた。
しかし、終始神経を張り詰めさせて過ごすことはかなりの負担で、仕事が終わればいつもの何倍もの疲労感が押し寄せた。
しかし、こんなにも疲れているのに、夜はうまく眠れない。
そんな夜は考えなくてもよいことばかり考えてしまう。
俺は結局、何を望んでいるのだろう?
聞こえてくるのは自分のため息ばかりで、今、自分の心の大半を支配しているのは虚無感だ。
失ってしまった悲しみと、どうにもならない憤りと諦めでぽっかり穴が開いている。
けど、僅かだが、いつも心のどこかで何もかもを知られる前に戻れないかと未練がましいことも考えてしまう。
それが複雑に絡み合って苦しいんだ。
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