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もの憂いげな純情 25

「それってさ、陽斗が俺のこと大好きって事だよね?」 「ち、違ッ……」 「そう? 俺はうざいなんて思わないよ。むしろ見せて欲しい。わがままや束縛なんか俺だってするし、甘えて欲しい。そんな陽斗が見たい」 もう、嫌だ。 俺の心臓は悲鳴をあげる寸前で、体中が沸騰したみたいに熱くて、呼吸すらまともに出来ないのに。 さっきから頬も熱くてたまらないし、そんな顔をどうにか隠したくて両手で覆い俯けば、そのまま和臣に抱きしめられた。 「もう陽斗のこと綺麗だなって思うの我慢しないことにする」 「い、嫌だ。やめてくれ」 「やめないよ。思わせてよ」 優しく耳元で囁くように言うなんて反則だし、そんなの……。 「……ほんと、ズルい」 きっとこいつはわかっていてやってるんだ。確信犯なんだ。 「ねぇ、陽斗。キスしていい?」 「いちいち聞くなよ」 いつの間にか、逃げられないところまで追い詰められている。 ずっと欲しかったそれは、手を伸ばせば手に入るところにあって。 ずっと好きだったんだ。 拒めるわけがない。 観念したように俯いたままでいると、和臣の優しげな声が降ってきた。 「キスしたら付き合うってことだからね」 いいよね。そう言いながら顔を覆っていた手を取られ、また唇が重なった。

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