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恋しく慕わしい 18

ありがとうと言うべきなのはむしろ俺の方なのに。 「和臣……」 「ん?」 和臣の優しくて聴き心地のいい声が響いた。 「和臣が好きだよ……」 俺がそう呟いたら和臣がより一層力を込めたのがわかって、その幸せで胸がいっぱいになる。 言葉って不思議だ。思っているだけより口に出した後の方が募っていく。 「俺、こうやって和臣に好きって言えるなんて、夢にも思ってなかった。今も夢なんじゃないかって思うくらいだけどさ」 「夢じゃないよ」 「そうだな」 顔をあげて、和臣と目が合うとどちらからともなく自然と唇が合わさった。 チュッと軽い音をたてて、唇が離れても和臣から目を離せなくて、またキスをせがむように目を閉じれば唇が触れ合い、それを暫く繰り返していた。 満たされる。他に何もいらないくらい。 「和臣……」 「ん?」 「俺さ、お前にならなんでもしてあげたいんだ。ずっと俺の世界の中心は和臣だった。俺は和臣がいてくれたらいい。和臣しかいらない。俺はお前が幸せならそれでいい」 シャツを掴む手に無意識に力が入り恥ずかしくて俯きたくなったけど、真っ直ぐに和臣の目を見ながら言う言葉は少し震えた。 でも、俺の言葉を聞いた和臣は目を優しく細めたけど。 俺の髪を優しくすきながら 「それじゃ俺は嫌だよ」と言った。

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