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偏愛ロジック 2
外回りから帰ってきて会社の屋上へと向かう。
2月も下旬に差し掛かり、少し前まではどこかどんよりした冬空ばかりだったのに、いつの間にかすっきりした青空の日も多くなり、日も長くなっていた。
しかし、春の片鱗が見え隠れしていたとしてもまだ2月のこの時期にわざわざ外で煙草を吸ってるのなんてオレくらいだろう。
指定の喫煙所はあまり落ち着けないので、こっそり来てはここで一服している。
胸ポケットから煙草を取り出せば、最後の一本だった。
最近、少し量が増えただろうか。
減らさなきゃなぁと思いつつも、その一本に火をつけた。
ふぅっと煙を吐き出しながら遠くを眺める。
遠くまで見渡せるこの景色が好きだ。
空に近い場所にいて、澄んだ青空や重たそうな空に流れる雲を見ていると不思議と落ち着く。
そして屋上という場所は先輩のことを思い出すことが出来る唯一の場所だった。
寒い季節になれば余計に思い出す。
でも、最近はそれもなくなってきていたのに。
「先輩のことあんま思い出さなくなってたのに、思い出すってオレも弱ってるのかな?」
ひとりごちながら煙草をふかす。
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