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第49話 誘いのキス
気まずいまま俺の自宅についた。
「じゃ、今日は俺、このまま帰るよ」
「なんで? 上がって行ってよ」
俺が腕に抱きつき引き止めても剣は。
「信一が危ない目に遭うのだけは許せないから」
と、そのまま帰ろうとする。
「やだ」
「信一!」
「やだったら、やだ」
剣が俺のことをすごく心配してくれるのは分かる。でも剣と会えなくなるのだけは嫌だった。
俺は剣のことを引き寄せると自分の方からキスをした。
舌を入れて剣の舌と絡める、初めて俺からする大人のキス。
拙い、本当に下手なキスだったと思うけど、剣に俺の気持ちは伝わったようで。
俺の髪を優しく撫でながら、困ったように笑う。
「高校生が色仕掛けなんてヤバいだろ」
そして、俺をお姫様抱っこすると、部屋へと連れていかれた。
ベッドに座らされ、剣が俺のことを見つめて来る。
端整なイケメンすぎる顔立ちはいくら見ても慣れることがなく、心臓に悪い。
てっきりそのまま押し倒されると思ったら、剣が馬鹿丁寧な口調でのたまった。
「信一様、お勉強の時間です」
「へ?」
勉強?
この流れで?
俺は鳩が豆鉄砲食らったような顔をしていたと思う。
剣はそんな俺を見てクスッと笑う。
「性教育の時間です、信一様」
……結局ベッドに押し倒されたのだった。
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