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第12話 継続
ふっと、目が覚めた。
いや、まだ眠いのだが、横にある体が、俺を抑え込んできて起きれなかった。
…、あ、違った。抑え込んだわけではなかった。抱きついてきたのだった。
そうだ。第11話の昨日から、先生はそのまま泊まっていったんだった。
そして、反対側には、小さな体が、脚を俺の腹に乗せていた。たいした寝相で。
「…ん…、まだ…」
と、モゾッと体を動かした。そしてすー…と再び寝息を立て始めた。
寝顔は天使の顔と、何かで読んだ気がしたが、
「まさしく、だな。天使の顔が2つ。」
両腕を少し伸ばし、二人の体を寄せて、俺ももう少し目を瞑ろうかな…、…
なんか、眠れなくなった。
外もまだ日も出ていないようだし、もう少しこのままじっとしてるか。
先生と、亮と、俺と。
3人で、これから暮らしていく。
そう思うと、…、いつもの様子に変わりないんだよなあ。
もうずいぶんな間、こんな生活になっていたからなあ。
血の繋がっていない3人が、ひとつ屋根の下で一緒に暮らす。
今の時代、それはちぐはぐとは言わなくなった。
それもひとつの方法という、許容範囲の1つになった。
それで良いではないか。当事者も第三者も、理解できる。
だから、生活が出来る。そのスタイルで生きていくことが出来る。
結婚という言葉は当てはまらないかもしれないが、これはゴールではなく、区切り、始まり。
この3人は、ここがスタート地点。これから、生活が始まっていく。
「じゃ、先輩、先に行きますっ」
「おおい亮、ちゃんとパンツ履けっ」
朝のバタバタ劇。今日はまだ普通の平日。
さっきのマッタリ感は、もう綺麗サッパリ。
またいつもの朝が迎えに来ている。
ピンポーン「りょうくーん」
「あ、きたきた、はーい」
「おいだから待てっ。パンツ履けっ」
一緒に住むことにはなったけど、ただ、それだけ。
他はとくに何も変わらない。
甘い生活がとか自由がなくなるとか、そういうことも変わらない。
本当に、先週と同じ、昨日と同じ。
そういうものだよ、リアルの生活というのは。
男同士の本当のリアルって、そんなものだよ。
ー おわり ー
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