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チェインジング・ダーリン6

「源さんと? けど、源さんは今日は組で留守番してるはずだけど……」 「もうとっくに家を出てこっちへ向かってるはずだ。地理的には李の方が近いから、落ち合えるのは李が先だろう」 「ちょ……待っ……! 何で李さんや源さんまで……」  まるでワケが分からずといった具合の紫月の手を引きながら、周はピタリと足をとめた。 「見ろ、思った通りだ。会場直下の出口に大型バスが停まっていやがる。周囲にいるのは犯人の一味だろう」  見れば、確かに数人の男たちがエンジンのかかったバスの周りで辺りを警戒するような素振りが窺える。他にも駐車スペースから外れてすぐにも発車できそうな普通乗用車やワゴン車が数台見て取れた。 「あいつらはいったい……」 「おそらく会場内にいた客たちをあのバスに乗せて移動するつもりだろう」 「移動って何処へ……」 「さあ、そこまでは俺にも読めん。だが、客たちを人質にして何かをやらかそうとしているのは間違いねえ」 「人質? 何でそんなことが分かるんだよ」 「カネからのメッセージだ。MGのMはミッションという意味だ。Gはターゲットが決められていない不特定多数の人命を伴う重度の危険があることを意味する。つまり無差別的なテロなどの可能性が高いということだ。55は敵味方合わせたおおよその人数を表す。このM、つまりはミッションで始まるメッセージは、俺とカネ――それに李や源次郎さんといった組織中枢のすべてに一斉送信されることになってる。これを受け取った時点で李も源次郎さんも装備を整えてできる限り迅速にこちらへ向かうはずだ」  紫月は驚いた。 「それって……お前らの間での決め事ってわけか……? 俺、ンなことが決まってたなんてちっとも知らなかった……」 「それは冰も一緒だ。お前らは俺やカネにとっては守って当然の家族だからな。血生臭いことには極力巻き込みたくねえっていうカネの愛情と思って、責めてくれるな」 「……そうだったのか……。そんなことが……」  確かに周や鐘崎の生きている世界とは本来そういうこととは切り離せないものだ。平穏なことの方が圧倒的に多いから忘れ掛けていたが、鐘崎の父親などは特に命の危険とは隣り合わせの任務に就くことが多い。  そうこうしている内に、周が言った通りに李と劉がやって来た。 「老板(ラァオバン)、ご無事でしたか!」 「ご苦労。装備は整えてあるな?」 「はい、一通り。後続部隊が機器などを揃えてこちらへ合流予定です」

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