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チェインジング・ダーリン20

「お前、車の運転は?」  走りながら鐘崎が訊く。 「できます! じいちゃんの通院の送り迎えをしていましたし」 「香港の街中を走ってたのか……。だったら腕は確かだな。犯人たちから少し離れた位置に車を停める。運転を交代できるか?」 「はい!」 「よし、だったら俺が降りてヤツらからご婦人を奪還する。そうしたらお前は彼女を乗せて警察のいる入り口まで突っ走るんだ。途中銃弾が飛んでくるかも知れん。なるべくジグザグに走ってタイヤを狙わせるな。万が一撃ち抜かれても構わずに走らせろ! いいな!」 「はい! でも鐘崎さんは?」 「さっき倉庫を出る時、上空にヘリを確認した。おそらくは源さんだ。こっちの状況が見えるだろうから上から援護が来るはずだ。俺は源さんと協力してヤツらの離陸を阻む」 「銃撃戦も予想されますか?」 「おそらくはな」 「分かりました。じゃあ俺はご婦人を降ろしたらすぐに戻って来ます!」 「バカ言え! 向こうに着けば氷川や李さんたちがいるはずだ! ヤツらと交代してもらって、お前は警察と共に待機してろ! いいなッ!?」 「分かりました」  冰はとりあえずうなずいたものの、車を降りて事情を説明する間があったら、即座にユーターンして鐘崎の救出に向かうべきと心に決めていた。 「よし、冰! 後部座席の扉を開けっ放しにしておく。車を停めたらご婦人を乗せて逃げろ! 頼んだぞ!」 「分かりました!」  猛スピードで飛ばし、犯人たちを散らすようにグルグルと円を描くように走らせる。  対戦しようと彼らが婦人を手放したのを見てとった瞬間に鐘崎は車を停めた。 「冰! 運転を代われ! ヤツらは俺が引き受ける。お前はご婦人を乗せて警察のいるところまで走るんだ!」  間髪入れずに車を降りて、向かって来る三人と戦闘態勢に入る。冰は言われた通りワゴン車の後部座席を開いたまま婦人の側まで行き、飛び乗るようにと叫んだ。 「ご婦人! 乗ってください!」  鐘崎はさすがの身のこなしで三人相手でも引けをとってはいない。だが、相手は銃を所持しているはずだ。飛行機からはまだ距離があれども、先に乗った犯人の仲間が気付いて応援に駆け付けないとも限らない。 「ご婦人! 少し飛ばしますが、危ないことはありませんので心配しないでください! すぐに警察のいる所まで辿り着きます。座席の上に伏せて頭を低くしてください! 運転が荒くなりますので何かにしっかりつかまっててください!」  冰は老婦人に声を掛けて落ち着かせながらもフルスピードで飛行場の入り口まで行き、婦人を降ろすと同時にバスで先に来ていた森崎が待っていて乗り込んできた。

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