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極道たちのクリスマスパーティー14
「当ったりー! 俺ら四人の色を一緒に飾ったら縁起がいいんじゃねえかと思ってさ。勝手にデザイン考えさせてもらった! ウチの組の玄関にも同じのを飾ったんだぜ」
「わぁ! 素敵ですね! 紫月さんたちのお宅の方のも見てみたいです!」
「ん! 是非見に来てくれよ! 松の内の間はずっと飾ってあっから」
「はい、是非! 楽しみだなぁ」
嫁二人が盛り上がっていると、旦那組の周と鐘崎が揃ってやって来た。
「紫月、そっちは若い衆に任せてちょっとこっちを手伝ってくれ」
「冰も来い。いいものを見せてやるぞ」
手招きされて、紫月と冰は期待顔で亭主たちの元へと駆けて行った。連れて行かれたのはツインタワーの間に位置する広大な中庭である。
「真田がクリスマスツリー用に取り寄せた例のもみの木をな、社の中庭に植樹することにしたんだ」
周からそう聞かされて、冰は大感激といったように飛び跳ねて喜んだ。
「ホント? じゃあこれからは毎日あの木が見られるんだね!」
「お前が名残惜しそうにしてただろ?」
そうなのだ。クリスマスパーティーの夜、冰が一人部屋を抜け出してこのツリーを見上げていたのが印象に残っていたのだろう。
「俺の為……?」
「ああ。もちろんそれが第一だが、ウチ用にはもう一つ別のツリーもあることだし、こっちのでけえ木はしっかり手入れして、来年は社の皆んなで楽しめるようにすりゃいいと思ってな」
「わぁ、それ最高! ここなら社の皆んなが見られるし、春とか秋にはこの木の下でお昼ご飯食べたりもできそうだよね」
ランチタイムには近隣のカフェやレストランに出向く者もいるが、弁当持参で来る社員たちも多い。そんな彼らにとっても憩いの場になったらいいと冰が嬉しそうに話す。
「それじゃベンチやテーブルなんかも置いて、ちょっとした青空カフェみてえにするか。社食から中庭にも出られるし、外でも食えるようにすれば皆の気分転換にもなるだろう」
「それはすごいね! 社員さんたちもきっと喜んでくださるね!」
周にとってはこんなふうに社員たちのことを気遣って、まるで我が事のように喜ぶ冰の笑顔が何よりも眩しく思えるのだった。
「来年も再来年も……そのまた来年も、ずっとずっとこの木が少しずつ大きくなっていくのを見ていたいな」
植樹の様子を見上げながらそう呟く冰の脳裏には、きっと周と二人で見守っていきたいという想いが込められているのだろう。紅潮する彼の頬と穏やかで幸せそうな笑みがそう物語っている。
「俺の側で、ずっと――な?」
「あ、分かった?」
「お前の考えてることは俺の思いと一緒だからな」
「うん! うん、そうだね!」
まるで『白龍大好き!』と言わんばかりに何度もうなずいて頬を染める仕草が本当に可愛らしかった。
そんな二人を側で見守る鐘崎と紫月もまた幸せそうに肩を並べている。年の瀬の午後の陽射しがそんなカップルたちをやわらかに包み込んだのだった。
極道たちのクリスマスパーティー - FIN -
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