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極道たちのクリスマスパーティー13
「お前……ここんところいろいろあって忙しかったってのに……こんなことまで覚えていてくれたんだな。その気持ちだけでも感無量だが、革もやわらかくて手に馴染む。そのくせ傷もつきにくそうで最高だ!」
「気に入った?」
「ああ。ああ……! もちろんだ! 肌身離さず大事に使わせてもらうぜ」
「あっはは! 肌身離さずとは大袈裟なんだからよぉ。けど喜んでもらえてよかった。なんせ亭主の持ち物っていえば嫁のセンスの見せ所じゃね?」
軽口で照れ隠ししつつも気に入ってもらえたことが嬉しいと顔に書いてある。鐘崎はコツリと額と額を合わせると、グイと頭を抱き寄せて今度は唇を重ねた。
「ありがとうな。大事にする。それにこの包みも記念に部屋に飾っておこう!」
鐘崎はラッピングを元の形に戻すと、名刺入れと並べては嬉しそうにそれを眺めるのだった。
「さてと! こんな嬉しいプレゼントを貰っちまったことだし、俺も何か返さなきゃな?」
鐘崎の瞳が明らかに企みを含んで悪戯そうに弧を描いている。すぐに何を返そうとしているのかが分かってしまった紫月は、嬉々として亭主の鼻の頭をコツンと指で突いた。
「このエロ亭主!」
「ふ、今夜はとびきりエロいことしてやる」
「出たよ猛獣!」
「嬉しいだろ?」
「あー、いや、その……まぁ……」
照れて視線を泳がせる仕草ごと奪うように抱き寄せて、とびきり濃厚な口付けを見舞った。
「メリークリスマス紫月。一生猛獣でいてやるから安心しろ」
「や、フツーの獣でも有り余るっつか……充分ですから!」
「そう遠慮することはねえ。こういうことは濃い方が有り難みがあるってもんだろ?」
「や、有り難みっつか、濃過ぎるのもちょっと……」
「照れるな」
「て、照れてねええええ……!」
既に押し倒され馬乗りになられて、紫月はますます頬を紅潮させた。
外は真冬の北風が時折カタカタと窓ガラスに吹き付けていく。凍えるような寒さとは裏腹に、これから紡がれる激しいひと時を想像すると身体の芯からじわじわと熱いものが込み上げるようだ。鐘崎の言葉通りの濃く滾った熱情を心ゆくまで迸らせ合う二人だった。
◇ ◇ ◇
その三日後、周の社にとっても鐘崎組にとっても一年の仕事納めの日である。街が年末年始の賑わいに湧く中、それぞれ午前中で仕事を切り上げると、午後からは正月飾りの門松や餅花を抱えて鐘崎と紫月が汐留へとやって来た。
香港育ちの冰には二度目となる日本での正月である。
「うわぁ、すごい立派なお飾りだー! 去年とはまたちょっと違う感じ」
思えば昨年の暮れのこの時期に初めて本物の門松などを見たことを思い出し、感慨深い思いが蘇る。
「門松の本体は一緒だけどさ、飾りの水引きやなんかを毎年ちょっとずつ変えてるんだ。今年は去年の紅白に墨色と紫も入れてみたんだぜ!」
社の玄関前で鐘崎組の若い衆たちと共に大きな門松を下ろしながら、紫月が得意げにウィンクを飛ばす。
「わぁ! それってもしかして俺と白龍の色に今年は鐘崎さんと紫月さんのイメージカラーも加えてくださったってことですね?」
冰がワクワクとしながら瞳を輝かせる。
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