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その後の俺と一太
玄関先に寝転がっていた全く知らない酔っ払いのオヤジがまさか自分の父親になるとは思いもよらなかっただろう。
「ちょっとそれズルいよ」
「あ?」
20年前と同じように夏祭りに行きたいと言い出した一太に連れられ、駅前で行われているうねめ祭りに二人で出掛けた。
花火がメインじゃなくて、踊り流しがメインの祭りだ。
いい年した大人が水ヨーヨーの取り合いをしている。なんとも滑稽な光景に行き交う人もみんな笑っていた。
「ねぇ父さん」
水面を眺めつつ一太がポツリと呟いた。
「なんだ改まって」
「母さんと結婚してくれてありがとう。俺の父さんになってくれてありがとう」
「止してくれ。背中が痒くなるじゃねぇか」
「俺………父さんみたいな父親になれるかな?」
「おぅ、なれるさ。誰よりも家族を大事にする一太のことをお天道様はちゃんと見てるさ」
「うん、ありがとう」
ちょうど3年前だ。
母親に育児放棄され、幼い兄弟を養うため、売春しようとしていた息吹という男の子を夜の街で見掛けた一太は、ほっとくことが出来ずうちに連れ帰ってきて面倒をみはじめた。
俺は息吹が未知と同じ両性だということに全く気付かなかった。
妊娠したことを告げられてはじめて両性だと知った。
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