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第1話 - ①

天国から地獄 ■■■■■■■■■■■■ 夢か?幻か? はたまた、視力の問題か? 震える手で、頬っぺたを抓ってみる (いっってぇぇぇって事は‥‥現実か!) 嬉しさのあまり脳みそがショートした 衝撃で全身が震えてくる始末 苦節10年 諦めずに捜し続けて良かった 俺やった、頑張ったよ爺ちゃんッ ネットを駆使し、オークションやサイトあらゆる情報網を使っても見つけられなかった 最後は地道に足を使って、巡り巡り 靴の底は減りに減り それが、こんな近くにあったなんて… 俺が通う大学近くの古ぼけたレコード屋 ボロい店内のその棚にひっそりと立て掛けてあったレコード 誰も知らないようなマイナーなロックバンドがCDじゃなく遊び心で作ったレコードと耳にした事がある もうバンドはかなり昔に解散していて、レコード自体も廃盤になり、出回っている数がかなり少ない それを小学生の時、爺ちゃんが日本のバンドで1番好きなのだって聞かせてくれて ぶっ飛んだ! 純粋にそう感じた 世の中にこんな凄いのがあるなんて。 まだあの時の記憶が鮮明に残っている 地を這う轟音 心臓を鷲掴みされるギター音 破壊的なメロディに身体は自然と動き出した 『そうか、お前も笑っちまうかっ』 そう言って爺ちゃんがガシガシと頭を撫でてくれた感覚も、まだ覚えている 好きな音楽を聴くと自然と笑顔になるのは爺ちゃんも同じで、家には色んなジャンルの音楽で溢れていた 音楽好きの爺ちゃんが亡くなったあと、ほとんどの物が寄付に回され このレコードもその中に入っていて、親に聞いたりもしたがすでに行方知れず もう聴ける事がないと半分諦めてたのに それが今 目の前にある

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