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*第19話* これ以上側に行けない

 胸の炎と共に吐き出された自分の息は熱かった。懇願しながら伸ばした手を掴まれて、一気に室内へ引きずり込まれる。久我の両腕に捕まって、噛みつくように唇を塞がれた。まるで互いの欠けている部分を補うために魂ごと吸い出すような、それは「口づけ」と呼ぶにはあまりにも業突く張った行為だった。  今、頬の内側をのたうち回っているのは自分の舌か、それとも久我の舌か。絡み合って感覚が融合していく。溺れてしまいそうな気がして久我にしがみついた。足に力が入らず、ぶら下がるような格好になる。久我は玲旺の細い腰を支えながら強く引きよせ、下半身の膨らみきった自分のモノを押し当てた。玲旺の下半身もひくひくと芯が通り、無意識に久我に擦りつける。   服越しに擦れ合うのは気持ち良いのにじれったくて、どうにかなりそうだった。唇を離されて、唾液が糸を引く。 「お前、エロ過ぎ」  久我はひょいっと玲旺を抱き上げ肩に担ぎ、廊下を進んで寝室の扉を開けた。閉め切られたカーテンのせいで室内は薄暗い。玲旺はベッドに乱暴に放り投げられ、スプリングの効いたマットの上で小さく跳ねた。激しいキスの後でまだ息が整わず、胸が上下する。久我は自分の着ていたカットソーを脱ぎ捨て、玲旺に覆いかぶさった。  獰猛な久我の両眼に見下ろされ、玲旺は「ああ、喰われる」とうっとりその瞳を見つめ返す。見合いの為に着ていたスーツは、脱がされると言うより剥ぎ取られた。プレゼントを開けるのに待ちきれない子供が包装紙をビリビリちぎって破るような、遠慮のない荒々しさだった。多分、シャツのボタンの一つか二つは弾け飛んだだろう。  素っ裸で組み敷かれ、再び乱暴なキスが落ちてくる。両手首をまとめて掴まれ、頭上で押さえつけられた。「逃げないのに」と思いながら、夢中で久我の舌に吸い付く。久我は空いている方の手で、ベッドの周りを探っていた。  やがて目当てのものを見つけたようで、体を起こして自分の性器と玲旺の性器を重ね合わせる。そこに手にしたボトルから、透明の液体をたっぷりと注いだ。粘度のある液体が、どろっと陰茎を伝っていく。久我は玲旺の手首を離すと、今度は二人の陰茎を束ねるように手のひらで包んで擦り合わせた。  ゴリゴリと互いに固くなったものがぶつかり合う刺激と、手のひらに擦れる刺激で思わず玲旺は腰を浮かせる。 「アッ。何コレ、凄っ……」 「ローションは初めて? 本当は直ぐにでも突っ込みたいけど、慣らさないと流石に可哀想だからな。でも、一回出しておかないと俺の頭がおかしくなる」

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