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世界中で一人だけ②

「あッ。あ、凄い、熱い……。んっ」  久我の雄を撫でながら、トロンとした目で玲旺は喘ぐ。(たが)が外れそうなのを必死で抑え、どうにか理性を保とうとしていたが、久我の荒い息はまるで発情した獣のようだった。  玲旺の蕾に猛る雄を添え当てて、ゆっくり押し広げながら進入していく。ううっと玲旺が呻いて、耐えるように唇を噛んだ。久我の目にそれは、酷く官能的に映ったらしい。 「桐ケ谷、お前……本当に綺麗だな」  玲旺の中に根元まで入ると、久我は達してしまいそうなのを堪えるように、目を閉じて深く息を吐きだした。 「中、キツイな。久しぶりだった? ロンドンでは……その、恋人っていたの?」  躊躇いがちに尋ねられ、玲旺の顔はたちまち不機嫌そうになった。  口をへの字に結ぶと思わず体に力が入り、玲旺の後孔がキュッと締まる。堪らずに久我が低く呻いた。 「あッ。お前、締めすぎ……出ちゃうだろ」  ゆっくり前後に動かしていた腰を止め、玲旺を抱きすくめて呼吸を整える。玲旺は「だって」と久我にしがみついた。 「酷いじゃん。俺は久我さん以外目に入らないのに、恋人なんて作るわけないだろ。そう言う久我さんは? 他の人としたの?」  久我は余裕のなさそうな顔で体を起こし、むくれている玲旺を見下ろした。 「お前以外で勃つわけないだろ。全く……最初は時間をかけて慣らしてやろうと思ったのに、お前のせいで危うく我を忘れて腰を振るところだったぞ。俺以外は目に入らないって? 随分可愛いことを言うんだな」  ギラついた久我に、玲旺の中で怯えと興奮が同時に込み上げる。今から激しく攻め立てられるのかと思うと、勝手に体が火照りだした。  疼く玲旺を煽るように、久我はゆっくりと先端が抜けてしまう程腰を引き、焦らしながらのろのろと緩やかに進入する。 「は……あぁ」  ゆったりした動きで中を擦られ、カリの部分が玲旺の前立腺を掠めていく。 「今ここに入ってるよ。解る? 俺のカタチを覚えるまでこうしていようか」  孔の深い部分で動きを止め、久我は玲旺の腹を撫でた。自分の中にいる久我を強く意識すると、吐精したばかりの玲旺の陰茎がぴくんと立ち上がる。歯痒さが募り、久我を求めるように玲旺は腰を浮かせてゆらゆらと動いた。 「我慢できないの? どうしてほしい?」 「もっと、欲しい……お願い」  久我は舌なめずりを一つして、今度は思い切り奥を突き上げた。 「ああっ!」    予想以上の衝撃に玲旺の体が跳ねる。  玲旺の膝裏を持ち上げて足を大きく開かせ、久我はのしかかるように体重をかけた。孔の中を何度も抉られ、久しぶりの快感に気が遠くなる。  玲旺は夢中で久我の頭を抱いて、髪をくしゃくしゃにかき混ぜた。 「あっ、あぁ。凄……っ」  上擦った声を漏らすと、久我が鎖骨から首筋に舌を這わせ、耳元で熱い息を吐いた。 「気持ちいいの?」  喘ぎながら玲旺が何度も頷く。その半開きになった唇に、久我は舌を捻じ込んだ。玲旺の淫らな声が久我の口内にも響き、更に興奮を高めていく。貪るように一心不乱に舌を絡め、それに合わせて久我の腰の動きも苛烈さを増した。玲旺の胸の先端を捏ねながら、嵐のような抽挿を繰り返す。

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