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世界中で一人だけ③

「あああッ!」  玲旺の喘ぎは悲鳴に変わり、眦に涙を浮かべて吐精した。久我は舌先で涙を舐めとり、玲旺を引き寄せて一際深く打ち付ける。その瞬間に久我も果て、びくびくと腰を震わせた。  玲旺の呼吸は乱れ、細い肩が上下する。久我は弾む息のまま玲旺の額に口づけた。涙を溜めた大きな目は放心しながらも久我だけを見つめ、頬はほんのり紅潮し、濡れた唇から「久我さん」と小さな声が漏れる。  久我は息を呑み、指の背で玲旺の頬を撫でた。玲旺はうっとり目を細める。 「桐ケ谷……。俺、これからはお前を独り占めしていいんだよな? 嬉しくて本当に気が狂いそうなんだけど」 「俺にこんなこと出来るのは、世界中で久我さん一人だけだよ。その代わり、俺も久我さんを独占するけどね。もし浮気したら、どんな仕返ししてやろうかな」  久我の首に腕を絡めて、玲旺は不敵に笑う。 「浮気なんてするわけないだろ。お前以外に心は動かないんだから」  クスッと笑うと、久我は玲旺についばむ様なキスを何度もした。唇を重ねているうちにだんだんキスが深くなり、玲旺の腹に再び屹立した久我の熱い雄が当たる。 「もう一回しようか」  既に蕩けて柔らかくなっている玲旺の窄まりをなぞる様に、久我は自分の陰茎を擦りつけた。久我の先端は淫らな蜜で濡れていて、擦る度に聞こえる水音と甘い刺激に、玲旺の陰茎も淡く立ち上がり始める。  硬くなった雄が玲旺の中へゆっくり飲み込まれ、「あぁ」と小さな吐息が漏れた時だった。唐突に鳴り出した電子音の軽快なメロディーと共に『お風呂が沸きました』と合成音声に告げられ、二人は動きを止めて顔を見合わせる。 「あははっ。お風呂が沸いたって」 「これから良い所なのに邪魔するなよなぁ」  淫猥な空気は掻き消えてしまい、途中まで挿入されたモノは引き抜かれるだろうと油断していたら、久我はそのまま奥まで進入してきた。 「あっ。んんっ。え、する……の?」 「折角だから、このままバスルームでしよう」  言うと同時に繋がったまま、久我は玲旺を抱えて立ち上がった。驚いた玲旺は落ちないように久我にしがみつく。 「あッ、あ。挿れたまま歩くなっ」 「だって、一秒も離れたくないんだよ」  玲旺の抗議を気にすることなく、久我はバスルームの扉を開ける。  片足だけを床に降ろし、もう片方の足は高く持ち上げられて、玲旺の中心にある芯が露わになった。羞恥に顔を赤らめたが、久我の猛りきった杭を中に打ちつけられ、直ぐにそれどころではなくなる。 「あっ、ああっ! んんんッ」  深い部分を揺すり上げられ、玲旺の体はガクガク震えた。壁に手を付き体を支えようとするが、押し寄せる快感のせいで力が入らず、崩れ落ちそうになる。久我は持ち上げていた足を降ろすと、鏡に向かって両手をつかせ、そのまま後ろから玲旺の腰を掴んで熱い塊を思い切り最奥に叩きつけた。  

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