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your king②

「あ……」  目に飛び込んできた光景に、玲旺は言葉を失って立ち尽くす。意図せず涙が落ち、離れていても繋がっていたんだと嬉しさが込み上げた。 「あっ、ヤバイ忘れてた! 桐ケ谷、寝室行くのちょっと待って!」  叫びながらバスルームを飛び出してきた久我は、既に寝室の扉が開いていることに気付いてバツが悪そうに顔をしかめる。 「桐ケ谷、ごめん」 「何で? 凄く嬉しいのに」  玲旺は笑いながら寝室に視線を戻した。  寝室のハンガーラックには、あの日玲旺が着ていたワイシャツが掛かっている。良く見ればボタンは取れたままだった。 「直しに出そうと思ったんだけど、お前が着ていたまま置いておきたくて。いつの間にか俺のお守りみたいになってたんだ。気持ち悪いことしてごめん」  玲旺は涙を拭いながら「ふはっ」と笑う。 「その気持ち悪いこと、俺もしてるから安心して。俺の寝室にも久我さんのシャツが掛かってるよ。そのシャツに向かって話しかけてたから、俺も相当でしょ」 「本当に? それ、凄く嬉しいんだけど」 「だから、俺も嬉しいって言ったじゃん」  玲旺は両手で久我の頬を包むと、背伸びをして口づけた。久我も玲旺の腰に手を回し、愛おしそうに唇を重ねる。 「この先一緒に過ごす時間が積み重なって、同じ思い出を共有したい。アルバムを眺める時、久我さんが隣にいてくれたらいいなって思う」  出来れば死ぬまで。と、玲旺は付け足した。久我が玲旺の髪に頬を寄せる。 「明日、一番最初に指輪を買いに行こうか」 「嬉しい。ねぇ、俺のこと……好き?」  二年前にどうしても聞きたくて懇願した言葉を玲旺が欲した。目を合わせて微笑んで、久我は静かに頷く。 「ずっと伝えたかったんだ。今日、やっと言える。玲旺、お前は俺だけの王様だ。好きなんてもんじゃない。愛してる」                  fin

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