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「……あの……めっちゃ怒ってる……よね……?」 俺の反応を探るように、藏元は控え目に聞いてくる。 「怒ってるよ!」 「……俺の……せいだよね……たぶん……」 「そうだよっ!」 「…………」 黙ってしまった。藏元のことだし、俺に謝るなと言われたから謝罪以外の言葉を必死に考えているんだろうな。 「……俺はちょっと……さ……」 「んだよっ」 文句か?突然のクレーム電話に文句か?ハッ!上等だよかかってこいや!今の俺は全く無関係なことですら、藏元を怒れるくらいイラついてんだ! 「……成崎とはもう……こういう普通の会話……できないと思ってた」 これが普通?一応怒ってんだけど?説教してんだけど? 「だから……成崎から電話もらえて…………嬉しかったり……はは」 「ーーっ」 ぉ、おおお、う、え、……?!?!いや、……え!?まずいっ!どうしたらいいのっ!? 藏元の特技不意打ちに、完全に勢いを削がれた。 「……ち、違う!俺が言いたいのは……だから、あー、あれ、ほら……!」 「分かってる。……ごめんね」 「おいこら!謝んなっつっただろ!」 「ぁ、ごめ……じゃない。」 「じゃないじゃねーよ!ほぼ言ってるよ!」 「……一緒にいないのに、また成崎を困らせてるんだね俺……」 電話の向こう側から落ち込んだ声が聞こえてきて、俺は歩みを止めた。 「……ムカつく」 「…………」 「嬉しいとか……そんな、……そんな言葉で誤魔化されねーからっ」 「そんなつもりは……」 「俺って、藏元の何なんだよっ」 「ぇ……」 「あー腹立つ!!アレと一緒にすんな!!俺は遠慮とか愛想笑いとかっ」 「……」 「そんなもの望んでない!」 「……なり、」 「俺が言いたいこと、やっぱり分かってない!お前はほんとに分かってない!」 「…………」 謝ってほしいのはあいつらで。藏元にはもっと自己主張してほしいわけで。 だから、俺は結局のところ…… 「俺は、藏元に……もっとちゃんと笑ってほしいだけだから!」 「…………」 言いたいことを、はっきり言ってみた。 「…………」 「…………」 ……が、何故か訪れた沈黙。 「……?」 何かまずいことでも口走ったかと思い返していると、後ろから肩を叩かれた。 「なーに公共の場で告白してんの!」 「……は?」 そこにいたのはアミで、よく分からないことを言われた。 「……コクハク……?」 「でしょ?」 「……は……?……はぁ!?ちが、違うわ馬鹿違う!」 「ねね!相手誰?うち知ってる子?もしもーし!」 「うる、うるさいっ!やめろ!ちょ、離れろ!アミ!!」 「照れてるしー!絶対好きな子じゃん!」 やめろぉおおっ! 奪われそうになる携帯電話を必死に引き戻す。アミから若干距離をとって再び携帯電話を耳にしてみたら、聞こえてきたのは無機質な電子音だった。 「……切れたじゃんかっ」 「うそぉ……すーちゃんの好きな子の声聞いてみたかったぁ」 「そこじゃねえよ反省しろよお前のせいだぞっ」 「……あ、うちが“告白”ってバラしたから?」 「……はっきり言っとくよ?告白じゃない。友だちだから」 「……相変わらずだね、すーちゃん」 「なにが」 ププッと笑ったアミに、何かを見透かされた気がして居心地が悪い。 「うちと何年の付き合いだと思ってんだよー。バレバレだからねー」 「だから、なにが」 「ふふ、その子のこと、大好きなんだねー」

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