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東舘さん、玲麻、俺を順番に見てから谷くんは腕を組んで首を傾げた。 「うーん…………これって、イタズラじゃ済まない状況になってたり、する?」 漸くお気付きですか。玲麻は結構本気で怒ってますよアレ……。これに懲りて、今後は少しでも空気を読む大切さを知ってくれればいいのだけれど……。 「……あははっ、冗談だってー。副会長も、藏元も、そんな本気の顔しないでくださいよー。これは話の流れで手に取っただけで、ふたりが思うような深い意味は無いですから。」 話の流れ?そんな流れ、いつありましたっけ? 「でも、そうだなぁ……誤解させたお詫びということで、藏元ぉ。コレ、成崎くんの代わりに一袋ならあげてもいいよ?大丈夫、秘密にしとくから!」 ペラペラと止まらない谷くんの軽い口調。 そんな谷くんの行動も軽率そのもので、“あの箱”を玲麻に何の躊躇いもなくポーンと放り投げた。 「一袋だけだからな?内緒だぞ?」 ウィンク…………じゃねぇえええぇええ!!?何やってんの!?なんで玲麻に渡したの!?この人全然懲りてないよ!! 「谷……いい加減にしなよ」 谷くんを不快そうな目で見る玲麻に俺は冷や汗が止まらない。俺にはこの状況を打破する力など無い。 「くれるって言ってんだから貰えばいいじゃん」 玲麻の斜め後ろからサラッと余計な一言を告げる東舘さん。人の話を聞かない上に、空気を読まない自由人ふたりを相手に、玲麻は果たしてどう対処するのだろうか。 俺は既に白旗を振っているのでノーリアクションで全て聞き流すことにした。 「いりませんよ」 「なんで?あったって別に困らないじゃん」 困るだろ。学校だぞ。 「……そもそも、押収物なら、返却されるべき物でしょう」 「没収された奴が、100%返却されるなんて信じてるのもどうかと思うけどねー」 仮にも風紀委員が、そんな事言っていいのか。押収物を誰かにあげるのなんてそれこそルール違反だろ。風紀のルールは守るんじゃなかったのか。やっぱこの人、面白半分で首突っ込んで責任取らないタイプの人だ。 「ていうかー、ルールどうこうより、貰っても使い方知らないとかじゃないの?」 東舘さんはクスクスととても感じの悪い、下品な笑みを浮かべていた。その東舘さんを、玲麻は静かに睨んだ。 怒気というより、殺気に近い視線。 「根性なし?童貞?もしくは両方?ハハ」 「優の前で、話すことじゃない」 「爽やか気取りかよ、胸くそ悪ぃ」

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