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第11話
でも来ていたのが彼で良かった
先生だったらもっと前からゲーム機没収だった。やばやば
『いつもっていつから図書室に来てるんですか?』
「たまにだけど最近は金曜日だけかな」
『でも貸出には何も……』
「ああ、借りた事は1度もないからね。持って帰るの重いし」
『へ、へぇ〜……』
会話はそこで途切れた
シーンとした図書室で知らない人と二人きり
適当に取った本を元の場所に戻し、ゲームをする気にもなれなくて何となく気まずい雰囲気のまま時間だけが流れた
「さてと……帰ろうかな」
その言葉を聞いて時計に目をやると18時だった
俺も帰らなきゃな
銀髪の人は読んでいた本を棚に戻しに行った
俺はそそくさと帰宅準備。って言っても何もしてないから鞄と鍵を持つだけ
彼が先に図書室を出て俺もその後に続いた
電気を消して鍵を締めてっと
「君、1年生?」
『あ、はい。そうです』
「そうなんだ。名前何て言うの?」
何故か名前を聞かれてしまった。早く帰ればいいのに
「……憂君って言うんだ。俺は朔夜、3年なんだけど少し前にこの学校に転入して来て知り合いがまだ少なくて」
『そうなんですか。……あ、すいません俺職員室に鍵返しに行かないといけないので』
「そっか。じゃあまたね」
そう言って彼とはそこで別れた
職員室に寄って鍵を返し、帰宅途中に銀髪の人を思い出していた
3年か……やっぱり先輩だった
転入してきて知り合いが少ないんだったら図書室なんか来ないで誰か誘って遊びにでも行けばいいのに
ってか孤独の金曜日は実は孤独じゃなかった事に驚きだった
俺が勝手に孤独って思い込んでたみたい
……来週も来るのかな
孤独は嫌だけど、誰かが居るとゲームに集中出来ないから居られると嫌
これが矛盾か
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