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第13話
『あっ』
「ん?あ、憂君だ」
銀髪の彼は保健の先生と向かい合って座っていた
指に……湿布?突き指でもしたのかな
えっと、先輩の名前なんだっけ
そんな事を考えながら取り敢えず軽く会釈し、先生に話しかけた
『すいません、気分が悪いんで1時間だけ寝てもいいっすか?』
だけどベッドが埋まってて却下された
皆んな考える事は一緒だ
「気分が悪いの?大丈夫?」
先輩に話しかけられた
『はは、でもベッド空いてないんで教室に戻ります』
「ちょっと待ってて」
そう言って先輩はカーテンが閉まっている奥のベッドに向かって行った
するとそのベッドから慌てた様子で1人の生徒が飛び出してきた。そしてそのまま保健室から出て行ってしまった
「はい、ベッド空いたよ」
『え、さっきの人は?』
「大丈夫、同じクラスの奴だから。どうせサボってただけだからいいよ」
や、俺もサボりです。……とは言えなくて
さっきの人が何故慌てて出て行ったのかはわからないが、せっかくなのでお言葉に甘えてベッドを使わさせてもらう事にした
「……じゃあね」
そう言って先輩が保健室から出ようとした時、颯太が保健室に入って来た
「憂!やっぱここにいやがった!お前次の授業……って」
先輩を見て颯太が固まった
「君、憂君の友達?」
「……そうです。もしかして朔夜先輩……ですか?」
「そうだけど何で俺の名前知ってるの?」
『おー颯太!どうしたんだ?』
俺が颯太に近付くと、先輩は颯太をチラ見して出て行った
「……憂、お前朔夜先輩と知り合いなのか?」
朔夜……そうだ。確かそんな名前だった
『知り合いって言うかこの間ちょっと喋ったぐらいだけど』
「マジか、あの人校内で超有名人だぞ」
『そうなの?』
颯太の話によると、長身で銀髪の超綺麗な男が3年に居るって校内で噂されてるらしい……
おまけに帰国子女でこの間のテストで全教科満点とった天才。それが朔夜先輩だとか
既に校内で告った奴が何人かいるとか
ここ男子校なのに告ったって……
確かにあの人は男からも女からもモテそうだ
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