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第59話
結局尾澤会長と俺は二科目授業をサボってしまった
そしてそのまま朔夜先輩も
全ての授業が終了し、帰る時間になったから鞄を取りに俺は1度教室に戻る事にしたんだ
生徒会室を出る前に鏡で自分の口元を見たけど、なかなか痛々しかった
これ、バイト先で何か言われないかな……
「ついて行こうか?」
『大丈夫だって!先輩は心配し過ぎ』
「そんな事になってるんだから心配するのは当たり前でしょ」
「気を付けて下さいね。また連れ出されそうになったら私に呼ばれてると言って下さい。それでもしつこいようなら朔夜に連絡しなさい」
『わかりました』
「見るだけ!見るだけだから」
「いけません!さ、私達も戻りますよ」
「えーー」
引きずるようにして連れて行かれる朔夜先輩に何となく手を振った
さすが尾澤会長だ、どんな相手にも屈しない
さて、俺も教室に戻るか
教室に戻ると午後のHRが終わった後だった
全体を見てみるともう既に何席か空席になっていて、
朝見た時より空席の数が増えてたからサボりか勝手に帰宅したと思われる
それでも特に何も言われないから本当自由な学校だよな……
鞄を取りに行こうと自分の席に戻ろうとした時、俺の席に何故かあいつが座っていたんだ
覚悟はしてたけど、やっぱり絡まれるのか
「やっと帰ってきやがった。何その顔、ださっ」
『……』
俺は何も言わず鞄だけを取った
「シカトかよ。いい気になってんじゃねーよ負け犬」
うるさいな
「朔夜先輩の次は尾澤会長でちゅかー?有名な先輩方達に構ってもらえて勘違いしてるか知らねーけど。ってかこんな負け犬に関わるあいつらも頭おかしいんじゃねーの」
『は?』
つい挑発に乗ってしまった
自分の事は何を言われようが構わない
だけど先輩達の事を悪く言われるのだけは許せない
「あの生徒会長も何考えてるかわかんねーし。真面目なフリして裏でやる事やってんだろ」
ダメだ、相手にするな
再び無視し、教室を出ようとしたら後ろから髪を掴まれた
『いっ……!』
「躾のなってねー犬だな。こっち来いよ」
そのまま引きづられるように教室の端まで連れて行かれた
気付けば教室の中は俺とそいつの2人だけになっていたんだ
「さて、誰も居なくなったし躾開始だな」
『どけよ、尾澤会長に呼ばれてるんだ』
「何?あの後泣きついたんでちゅかー?マジだっさ!別に行かなくていーよ!今から俺が遊んでやるんだから」
『あっ!』
鞄を奪い取られてしまった
『返せ!』
「返して下さい、お願いします。だろ」
『だから言う事が古いんだよ!いたっ!!』
足を思い切り踏みつけられた
「調子に乗るな。また殴られたいの?」
『っ……』
「憂!」
腕を掴まれた時、俺の名前を呼ぶ声が聞こえた
『先輩……』
「…………」
朔夜先輩は教室の中に入ってき、無言で俺たちに近づいて来た
そして相手の腕を掴み上げたんだ
「いてててて!!」
「こんな事だろうと思ったよ。憂、大丈夫?」
『う、うん』
「離せ!!!」
「君さぁいい加減にしなよ。本来ならそこの窓から投げ落としたい所なんだけどさ、尾澤に免じて我慢してあげてるんだから感謝してよね」
「てめぇは関係ねーだろ!!部外者は引っ込んでろ!」
『先輩……』
「大丈夫。憂が心配するような事はしないから」
先輩は不安そうな俺を見てそう言うと暴れる相手にそっと何かを言ったんだ
「また憂に何かするようなら……次は狩るよ?」
「…………」
朔夜先輩はパッと手を離し、鞄を取り返してくれた
「さ、帰ろっか」
『うん……』
チラッと見てみると、あいつの表情は凄く怯えていて顔色が悪くなっていた
何を言ったのかよく聞こえなかったけど、多分先輩の迫力勝ちだ……
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