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第80話

『尾澤会長っ朔夜先輩は何処に……!?』 立ちすくむ会長を生徒会室の近くで見つけ駆け寄った その近くの窓ガラスは割れていて周辺には破片が散らばり、血痕のようなものもそこら辺に飛び散っていた これは…… 『会長、一体何が……』 「朔夜が連れて行かれました。すいません憂君、私は事情を説明しに向かいます」 『でも……』 「図書室の事は後で私がしておきますから君はもう帰りなさい」 『先輩は……?』 「何とかします」 そう言い、尾澤会長はどこかに向かって行ってしまった すぐに会長の後を追ったけど、来てはいけないと途中で追い返されてしまった 俺は再び図書室に戻り、椅子に座ってずっと待った ずっと待ったんだ…… 窓の外はすっかり暗くなり、時計に目をやるともう下校時刻はとっくに過ぎていて19時になろうとしていた だけど、こんな時間になっても図書室にはまだ誰も来なかったんだ 『……!』 ようやくガラッとドアが開いたと思ったら、入って来たのは見回りの先生だった 「こんな所で何をしているんだ。下校時刻はとっくに過ぎているぞ!どこのクラスだ!?」 『あっ……す、すいません!俺は図書委員で今日当番で…… 本を読んでいたらこんな時間になってました!ごめんなさい。すぐに帰ります』 咄嗟に嘘をついた 「図書委員?……ったく、集中して読書するのはいいがちゃんと時間を確認しないと!」 『はい……』 「戸締りはしておくから早く帰りなさい。今回は見逃してあげるから次からは気をつけなさい」 『はい、すいません』 鞄を持ち、先生に軽く頭を下げて背中を見られないようにサッと図書室から出た 『……っ』 ふとした瞬間に痛みが走る。だけど我慢するしかない 校舎を出て正門を通ると、少し離れた所で話をしている朔夜先輩と尾澤会長を見つけた 『先輩!!』 俺は2人に駆け寄った 「……憂君!まだ帰ってなかったんですか?」 『すいません。俺図書室にいて……』 「そうですか……図書室の事をしておくと言いながら出来なくて申し訳ありません。とても行ける状況ではなかって代わりに見回りの先生がと……」 『いいんです。先輩は……』 先輩を見た瞬間その先の言葉を口にすることが出来なかった 「相手はそのまま病院に連れて行かれました。鼻骨が折れ頬骨にヒビが入っていたみたいで……」 『…………』 「事情を説明したので退学にはならないと思います。ただ相手の怪我具合が酷いので…… 朔夜の処分は明日出ると言っていました。学校から連絡があると思うのでそれまで朔夜は自宅待機です」 『俺のせいで……』 「憂が責任を感じる事はないよ。俺が勝手にやった事なんだから」 先輩が口を開いた 『でも……先輩、ごめんなさい』 「謝らないで。……1人にしてごめんね」 「憂君は大丈夫ですか?」 『俺は……』 「憂、遅くなったけど怪我の手当をしよう。来て」 『えっ』 先輩に手を引かれた 「怪我?憂君どこか怪我を?その背中は……」 「尾澤、迷惑掛けたね」 「いえ……では憂君を宜しくお願いします」 「うん」 『ちょっ先輩何処に……』 そしてそのまま連れて行かれた所は先輩んちだった 「座って」 『……待って、先輩も怪我してんじゃん』 外にいる時は暗くてよく見えなかった 先輩の右手の甲は赤く腫れ上がっていたんだ 「ああ、ただの軽い打撲だから大丈夫。ほら、脱いで」 『でも……わかった』 言われた通り服を脱ぎ、背中を先輩の方へ向けて座った 『いっ……』 「ごめん」 先輩の手がほんのちょっと触れるだけでも激痛がした 「もう少しだけ我慢出来る?」 『ん……』 俺は唇をぐっと噛み締めた .

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