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第109話
自分の本当の初キスの真相を聞いて驚愕してしまった。や、先輩だから別にいいんだけど何だかなぁ……
それならもっとはっきり覚えておきたかった
「ごめんね」
先輩が俺の頬に手を当てた
『うん、びっくりしたけど……いいよ』
「本当?ありがとう」
触れるだけの軽いキスをされた
先輩って本当にキスが好きだな。されない日はない
『……いつか唇がたらこになりそう』
「たらこ?」
『腫れ上がってさ。さっきのは別として先輩っていつも激しめだから』
「何?物足りなかったの?」
『違っ!そう言う事じゃないよ』
「そう言う風に聞こえたけど」
『気のせいだよ』
「そうかなー?」
先輩は体を起こし、俺に覆い被さってきた
「あの時の再現……してみる?」
そう言われた瞬間また顔面がカーッと熱くなった
その時、颯太が言ってた事を思い出したんだ
流れに身を任せろ
『……っ』
また唇が重なった
だけど今度はいつもするみたいな舌を絡める深いキス
わざと音を立てて俺を刺激しようとしてくる
やばっ……凄く気持ちいい
『あっ……っ』
首筋を舐められ体がビクッとなった
「いい匂いがする。あの泡の入浴剤は当たりだね」
『先輩っくすぐったい……んっ』
「……脱ぐ?」
『え……?』
「脱がすよ」
先輩はそう言い俺の服をめくり上げた
『んっ……っ……あっっ』
胸にもキスされ先輩の手が触れる度に体が反応してしまう
初めての感覚に自分の息遣いが荒くなった
恥ずかしいのにもっと触って欲しい
キスして欲しい
そんな事を思ってしまう自分に戸惑いを隠せなくてかなりびっくりした
そうだ……あの時もこんな感覚だった
夢だと思っていたあの時の感覚が徐々に蘇ってきてまた胸が高鳴った
『んんっ!』
そしてまた唇にキスされたと思ったら、ぎゅっと抱き締められた
「……これ以上すると止まらなくなる」
俺と同じで先輩も息遣いが荒くなっていたんだ
『先輩……』
俺は返事をする代わりに先輩をぎゅっと抱きしめ返した
大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせて……
『いっ……っ!』
先輩にしがみつき、必死に痛みに耐えた
「憂……」
『…………っ』
先輩が動く度にベッドの軋む音と、先輩から漏れる吐息が聞こえて恥ずかしさで頭の中がめちゃくちゃになった
想像していた以上の痛みだった
抜こうと思っても無意識に力が入っちゃって自分ではどうにもならなかった
時々感じる気持ちよさで訳が分からなくなってしまう
だけど、先輩が何度も何度もキスしてくれたから……
『ああっ……先輩ッッ……んっ』
「名前……」
『……っ』
「名前……呼んで」
『……朔…夜?』
「うん……」
『朔夜っ……っ』
先輩はしがみつく俺にまた優しいキスをしてくれたんだ
それから涙をそっと拭ってくれて、優しく耳元で囁いた
「……好きだよ」
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