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第131話
遅刻気味に憂と一緒に朝登校した
あー幸せ、ホント幸せ
机に顔を伏せて昨日の夜の事を思い出しながらまた1人でニヤニヤする朔夜
あそこを突けば憂は感じるのか。昨日はいい勉強になった
あと背中にキスした時も反応してたよね
人の事キス好きって言うけど憂もまんざらじゃない感じがするよねー
あー可愛い
ホント何あの可愛い生き物
「はぁ、好き過ぎる」
こういう寝不足なら毎日なったっていい
「朔夜……朔夜!」
「……ん、何?」
尾澤に何度か声を掛けられて目が覚めた
どうやら寝ちゃってたみたい
「早くそのプリントをしまいなさい。進路についてのプリントですので無くしては困りますよ」
「進路?……留年したいから別にいいよ」
「何を馬鹿な事を言ってるんですか。ほら」
「うるさいなぁ」
「早く早く」
「もぅ」
尾澤に急かされ仕方なくプリントを机の中にしまった
「次の授業が終われば昼休みですが……夏休みも近いですし色々とやる事があるので私は直ぐに生徒会室に行きます」
「勝手に行けばいいじゃない」
「言っておかないと私を捜すでしょ?」
「んーまぁね」
「全く……さぁさぁ起きて。1時間目からずっと寝てるんですからそろそろ起きないと」
「もぅ、わかったよ」
自分だってたまに寝てるくせに人にはうるさく言うんだから……
授業中、前の席の奴が教科書を器用に立てて何かコソコソしているのに気が付いた
どうやら何かのゲームしてるみたい
暇だったし何となく覗いてみると、見た事ある画面が見えた
「ねえねえ」
小さい声で話し掛けた
前の席の奴はびっくりしてバッと机の下にゲームを隠した
「それってあっちの森でしょ?」
「え?」
「俺もやってるよ」
「え、マジで?意外」
何かいい情報を教えて貰えれば憂に教えてあげれるね
喜んでくれるかな……
他にも喋ってる人達沢山いるし、丁度喋ってても何も言わない先生だから話が出来る
「わっ君結構レベル高いね」
「そうかなー、朔夜君は?」
「俺はまだまだ初心者だよ。あっ何かレアなアイテムある場所とか知ってる?知ってたら教えて欲しいんだけど」
「レア?例えばこの剣とか……」
「うんうん」
アイテムの発生条件や時間等を教えてもらった
あっ忘れないようにメモしとかなきゃ
他にも色々聞きまくり、気付けばプリントの裏が文字で埋め尽くされた
「ちょっそれって進路希望の用紙なんじゃあ……」
「ん?あ、本当だ。まぁ別にいいよ。色々教えてくれてありがとう」
尾澤にバレなければそれで良し
「君も色々詳しいんだね」
「君も?って事は他にもやってる人いるの?」
「うん」
「うちのクラス?」
「ううん、1年生の子でね」
「1年……もしかして噂の子?」
「噂?」
その時、チャイムが鳴り授業が終わった
昼休みになっちゃった。もう少ししたら中庭に行かなくちゃいけないな
だけど彼の言う噂が気になるからもう少し話す事にした
「噂って何?」
「朔夜君がよく一緒にいる1年でしょ?」
「うん」
「その子凄い噂になってて」
「……何?」
朔夜の声色が変わった
どんな噂か知らないけど憂に関する事なら見過ごせないな
「朔夜君って学年問わず超人気あるじゃん?」
「知らない」
「知らないって。まぁいいや、その朔夜君がその1年と付き合ってるんじゃないかって噂なんだけど……男同士だしどうなのかなーって」
「……え?そんな事?」
余りにもくだらない内容に気が抜けてしまった
なんだ……
「ん、付き合ってるよ」
「マジで?」
「うん」
「じゃあ図書室でキスしてたのは!?」
「……」
これは憂が聞いたら怒るな
「それに関してはノーコメントだね」
「へぇー、こりゃ朔夜君ファンが聞いたらさぞかしショックだろうなぁ」
「やめてよ」
噂って事は他にも色んな奴に憂の事が知れ渡ってるのか
……何かあっても嫌だし先に手を打つか
「ねぇ、あの子に手を出したら俺に殺されるよって噂流しててよ」
「え?」
「凄く大事な子なんだ」
「何回か見た事あるけど、まぁ確かに可愛い顔してるよな」
「…………」
彼の腕を掴み、潰すのかってぐらい強く握りしめた
「いっ!」
「あの子は俺のだから……忘れないでね」
そう言い、席を立ち教室から出た
まさか憂の事を可愛いって思う奴が他にもいるなんて
全く、油断も隙もない
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