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第138話
朝起きた時の憂の寝癖超可愛かったなー
そんな事を思い出しながら機嫌良く教室に入ると朝から尾澤がマスクをしていた
「昨日の午後からしてるけどまたマスク?」
「ええ」
「風邪?」
「いいえ、唇が荒れたので」
「そうなの?リップしてる?ってかマスク熱くない?」
「教室の中はエアコン効いてるので大丈夫ですよ」
「ふーん」
汗が見えてるっての
強がっちゃってさ
しかも朝でエアコンつけたばかりだからそんなに効いてないし
特に気にせず自分の席に向かうと前の席の奴はもう来ていて俺と目が合った瞬間パッと視線を逸らした
「おはよう」
「お、おはよう」
「昨日は色々情報ありがとう、凄く喜んでもらえたよ」
「そうなんだ」
「うん」
「えっと……」
何か言いたそうにしてるけど躊躇してるみたい
昨日俺が威嚇したから当たり前か
「何?」
「あの……その子のレベルとかわかる?」
「レベル?あっちの森の?」
「うん」
「えーっと何だっけ……多分90は越えてたような気はするけど」
「あっじゃあレベル100になると裏ダンジョン行けるの知ってるのかな。それまでに必須アイテム手に入れてないといけないんだけど」
「ちょっと待ってメモる」
自分の席に座り机の中に入れてあったノートを破ってメモを取る準備をした
「なんかギャップが……」
「ギャップ?」
「その今書いてるメモってあの子にあげる物なんだよな?そんな事するようなイメージがないから」
「何か文句ある?」
「な、ないよ!……本当に好きなんだなー」
「うん、超大好き」
朔夜の顔がにんまりと緩んだ
「もう本当可愛くてさー!やる事なす事可愛過ぎて目が離せないんだよ」
「あ、いやっそういう意味じゃなくて。あの子本当にあっちの森が好きなんだなーって思って。なかなか高レベルだからさ」
「……チッ何だよそんな事かよ」
「ええっ」
昼休みになってもうすぐ憂に会えると思っていたら憂から連絡が来た
この間の小テストの点数が悪かったから昼休みに課題プリントをしなくてはならないと。だから中庭には行けないと……
「ねぇ尾澤、テストそのものを失くす事って出来ないかなぁ?」
「無理ですね」
「はぁ」
「ところで朔夜、先程からあちらの方が呼んでいますが?」
「えー?」
尾澤が指差す方を見てみると見た事ない人が教室の出入口に立ってこっちを見ていた
「代わりに尾澤行ってきてよ」
「用があるのは貴方です」
「面倒臭いなぁ」
渋々向かうとそのまま着いてきて欲しいと言われ人気の無い階段の踊り場まで連れて行かれた
「……何?」
「あの、朔夜先輩の連絡先が知りたくて……良かったらこれに連絡くれませんか?」
そう言われ小さな紙を渡された
「どうして?」
「……先輩と仲良くなりたくて。好きなんです」
あーまたこれか
もう何度も言われたその言葉
他の奴の口からじゃなくてまた憂の口から聞きたいなぁ
「……返すよ」
渡された紙を相手の胸ポケットに入れた
「やっぱり付き合ってるんですか?」
「ん?」
「あの1年と付き合ってるからですか?」
「……」
そう聞かれたけど返事をせずにその場から立ち去った
先輩とか言ってたから2年か1年の子かな
やっぱり憂の事は色んな人に知れ渡ってるのか……
やはり見せつけなければならないな
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