136 / 184

第146話

「おいまだか」 かれこれもう20分ぐらいは歩いている 「もう着きます」 「あー?」 「着きました」 「って、てめぇの家じゃねーか!!」 立ち止まった所の家の表札には尾澤と言う字が…… 「いけませんか?」 「やたら住宅街歩いてるなーと思ったら!どっかの店に入るとか他にももっと色々あるだろ!」 「お店の方に迷惑が掛かるかと思いまして。ほら、貴方は声が大きいから」 「てめぇ……こうやって他の奴らも家に連れ込んでるんじゃないだろうな」 「まさか。連れて来たのは貴方が初めてですよ」 「…………」 「取り敢えず入りませんか?」 「ちっ仕方ねーなぁ」 ここまで来てしまったらもう一緒だ…… 家の門を開き、鞄から鍵を出して玄関の扉を開いた 「どうぞ」 「ああどーも!」 中に入ると至って普通の一軒家 広くもなく狭くも無く程よい感じの尾澤宅 そのまま階段を上がって2階に連れて行かれ、部屋に通された 「ここが私の部屋です」 「へぇ……何の面白味もない部屋だな」 「適当に座って待っていて下さい」 「はいはい」 部屋の中に勝哉を残し、尾澤は下へ降りていった 「…………」 本棚をジロジロ観察 どっかにエロ本とかありゃー面白えのに 何だよこれ漢字ばっかの難しそうな本ばっかじゃねぇーか!つまらん 何かの分厚い本に挟んでるとか…… ちっ何もねえ 次にエロ本の隠し場所ど定番のベッドの下を覗いてみた 「おっ!」 ベッドの下の奥に何かあるのを発見した あれは本だ!間違いねぇ! 腕を必死に伸ばし、ベッドの下の本を取ろうと頑張る勝哉 あともうちょい…… 取った!! 「何をしているんですか?」 「うおっ!!」 急に声を掛けられびっくりして腕を思い切りぶつけてしまった 「いっ!!!」 「大丈夫ですか?……それは」 「見つけたからな!!何だかんだ言いながらてめぇも男だよな!」 「ありがとうございます。探していたんですよ」 「ああん?」 勝哉の手には英文読解教室と書いてある本が…… 「何だこりゃ」 「きっと掃除機をかけた際にベッドの奥に行ってしまっていたんですね」 「お、俺が求めていたのはこんなもんじゃねぇ!!」 勝哉はベッドの上に向かって本を投げつけた 「乱暴ですよ」 「けっ!」 「……で、私に用とは?」 「その前にこれは何だ?」 テーブルの上に置かれたカップが2つ 「紅茶ですけど。珈琲の方が良かったですか?」 「俺は客じゃねえ!」 「部屋に通した時点でお客様ですが?」 「はぁ……何で俺がてめぇーなんかに振り回されなきゃならんのだ」 「振り回す?貴方は一体何を言っているのですか?」 勝哉は悟った こいつは天然だ .

ともだちにシェアしよう!