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第195話
「で、何食べたいか考えた?」
『え?』
「……食材見て考えるよ」
『わかった!』
窓の外の通り過ぎて行く景色ばかり見てて全く何も考えてなかった
店の中に入り真っ先にカゴを取るとスッと朔夜の手が伸びて来た
「持つよ」
『いいの?』
「当たり前でしょ?」
朔夜はいつも買い物カゴを持ってくれる
「んー食材見てからと言ってはものの何しようか」
『何でもいいよ』
だって作るの朔夜だし
「あっじゃあオムライスにする?」
『オムライス?』
「俺が作ったやつ食べてみたいって言ってたでしょ?」
『ああ、そう言えば言ったような……いいの?』
「勿論」
『やった!じゃあ朔夜手作りオムライスで!椎茸入りね』
「わかった」
今日の晩御飯が決定した
俺が作ったオムライスは焦げたスクランブルエッグライス
朔夜が作ってくれるオムライスはどんなんだろ
「そうと決まれば買う物は決まったね」
朔夜はそう言い、青果コーナーで色々食材をカゴの中へと入れていったんだ
『あっ!』
「……ん?」
なんと次に行った精肉コーナーで尾澤会長に遭遇したんだ
『こんにちは!』
「お二人共こんにちは、何だかお久しぶりですね。お買い物ですか?」
「買い物だよー、何でこんな所にいるの?親と来たの?」
「いえっ勝哉さんと……ってあれ?さっきまでそこにいましたのに」
『えっ勝哉さんと来たんですか?』
「ええ、誰も居ないし腹が減ったから何か作ってくれと電話がありまして」
『へぇ〜……』
「カゴは勝哉さんが持っていたのでいなくなられると困りますね」
『あはは……』
勝哉さんめ
なかなかやりよるのぉ
「尾澤は何作るの?」
「私ですか?勝哉さんは肉が食べたいと言ってたのでヒレ肉でも買おうかと思いまして。なので作ると言っても焼くだけになるかと」
「そんないい物じゃなくてワカメでも食わせてりゃいいよ」
「こらこら、ワカメも立派な食材ですよ?」
「じゃあ七味唐辛子で」
「それは調味料ですね」
「面倒臭いから生卵は?」
「鶏さんに失礼ですよ?」
「じゃあもう尾澤でいいじゃん、1番喜ぶんじゃない?」
「卑猥な発言は控えましょう」
『ぷくくっ』
朔夜と尾澤会長の意味不明なやり取りを側で聞いていて笑いそうになった
卑猥な発言って……っ
「取り敢えず私は勝哉さんを捜しに行きます。立ち話も他のお客さんに迷惑になりますし……ではまた」
『あっはい!お疲れ様です!』
「じゃあねー」
尾澤会長はトレーに入ったヒレ肉を持ち勝哉さんを捜しに向かった
何となくの予想お菓子コーナーかアルコール類を見てそうだけど
それで未成年だからと尾澤会長にお酒を取り上げられるんだ……
『くくっ……』
変な想像をしてたら面白くなってしまった
一度尾澤会長と勝哉さんの普段のやり取りをじっくりと見てみたいな
「何笑ってるの?」
『ううん!何でもない!それより俺達も買い物再開しよう!』
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