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嘘の種から実の花が咲く話 3
数日後のある夜のことだった。雲雀の部屋で雲雀の帰りを待っていたおれは、扉の開く音で勢いよく顔を上げた。
「雲雀! おかえり!」
「ただいま。ごめんな、昼休みも放課後も一緒にいられなくて」
そう、今日のお昼休み、雲雀は愛の呼び出しに応じたまま戻ってこなかった。相手は『軽音の歌姫』で、告白されて断ったら軽音部の先輩方に「最後に食事くらい、いいだろ? なあ」と囲まれたらしい。
そして放課後、一緒に帰ろうとしたら、他校の出待ちのファンがいっぱいいて、おれと雲雀は別々の道で帰ることになってしまった。
実はお昼休みからずっと話したいことがあったのに、おれは雲雀とずっと話せないまま今に至るのだ。
「ううん、大丈夫! それよりね、あのね!」
「ん? ちょっと待って、着替えるから。そこ座ってて」
「う、うん!」
おれは雲雀のベッドに座って、ふう、と息をつく。
「……あ、あのね?」
「うん、何?」
着替えるためにクローゼットを開いた雲雀の背に向けて、おれは叫んだ。
「……おれ! 告白されちゃった!」
ガタガタンッ!! と大きな音を立てて、ハンガーをかけようとした雲雀の手が滑った。
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