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え!?お前そうなの?
よう!
俺はテオ。
シェスの同僚でシェスの事情を知る数少ない友人だ。
「・・・シェス?お前何してんだ?」
医療室で探し物か?
どこか怪我でもしたのか?
「ああ!いや、クリスがちょっと怪我したみたいで。傷薬探してんだけどよ?」
「あーー確かきれてたなぁ。俺の知り合いに頼んでもらって来てやるよ」
「そういやお前友人に薬師がいたっけか?」
「薬師じゃなく薬術魔導士な?薬も調合出来っから聞いてみる。ちょっと待っててくれ」
確か傷薬くらいならあったよな?
あそこ薬の種類多すぎて覚えらんねぇんだよな。
「おーい!ユーリ?いるかぁ?」
「・・・居るよ。いない事なんて滅多にないだろ?」
そうだな。お前いつもこの宮廷の薬室でこもりきりの生活だもんな?少しは外出た方がいいぞ?
「悪いけど傷薬分けてくれないか?同僚が怪我したみたいでさ。医療室の予備がなくなってたんだよ」
「いいよ。どの程度の怪我なんだ?それによって薬の種類が変わるぞ?」
「あーーそうなのか?そこまで聞いて来なかったなぁ」
「それなら、この辺りか・・・そこまで酷いものではないんだろう。もし酷いなら、ここに連れて来い。緊急なら私が処置してやる」
珍しい。ユーリ基本人嫌いだからここに人を呼ぶの嫌がるんだぜ?どうしたんだ?
「なんだ?何か言いたそうだな?」
「え?いやぁ。珍しいな、と思ってよ?ユーリ基本、人と会うの嫌がるじゃん?」
「・・・・なんだ。私に会わせたくない相手なのか?」
う!!その顔やめろよ。
ユーリなぁ。なんつーか。変にナイーブなんだよな。
「そうじゃねぇよ。ユーリがいいなら、かまわねぇけど」
「・・・・・テオ。本当に?」
おっと・・・ユーリ。俺ちょっと今日はすぐに戻らないといけないんだ。だからよ?ちょっと離れようか?
「ユ、ユーリ。俺すぐ戻らねぇと・・シェス待たせてるし・・・・」
「シェスって言うんだね?同僚の名前。ふーん?」
ユーリさん?
オイオイまさか何か誤解してないか?してないよな?
ちょっと壁際に追い込まないで欲しい。
「お前から同僚の名前が出てくるなんて、珍しい。親密なのか?」
「違うぞ!親密度でいったら明らかにお前とは比較にならないぞ!!」
お気付きだろうか?
俺達のこの明らかに、ただの友人にしては近すぎる距離に。
そう。実は俺、シェスにあんな事言っておいてなんだが、人の事は全く言えないんだ。
だって、俺もユーリと・・・。
「最近、私に会いに来ないな?この前無理させた事、怒ってるのか?」
ユーリと・・男同士なのに身体を重ねる関係だ。
しかも俺達は付き合ってない。恋人ではないのに・・・。
「お、怒ってないって。分かってるだろ?今の時期は忙しくて抜け出す暇ないんだよ・・・それに、お前たまに無茶するから、身体をすぐに動かせなくなるし・・・」
お、珍しく反省してるのか?
そうだ。少しは反省してくれ。この前も、大変だったんだからな?何度も何度も中に出しやがって。
「悪かった。テオの反応が良かったから、つい調子に乗ってしまって。もう中で無理矢理イカせたりしないから」
「そう言う事、口に出すな!思い出すだろ!」
こ、コイツ本当になんなんだ!
一向に俺の事どう思ってるのか口にしないし、関係も曖昧なままなのに、この、独占欲の強さ。俺にどうしろと?
「とにかく薬!薬くれ!本当に待たせてるから!」
「じゃあコレとコレ持っていけ・・・テオ」
「ん?なんだ?ユー・・・」
・・・・・本当に、なんなんだろう。
俺は誤解だとしてもシェスが羨ましいぞ。
俺の場合、今更ユーリと付き合うとか、どうとか・・言えないというか。言ったらこの関係が壊れそうな気、するんだよなぁ。
「・・・ん・・・ふ」
「悪い・・・キスだけでいい・・少しだけ・・・」
ユーリ。俺の事好きだと思うんだけどなぁ?
なんで何も言ってこねぇんだろ?
俺が悪いのかな?ユーリに半ば無理矢理された時、曖昧に誤魔化したからなぁ。ちゃんと怒るべきだったか?
「ユ・・・リ・・もう、行かねぇーと」
「・・・・・もう少しだけ」
や、マジで駄目だって!これ以上は俺も・・・。
「お邪魔しまーす!テオー!薬もらえたかー?」
「「・・・・・・・・」」
「・・・・・・・・」
「シェス。俺達は邪魔だったみたいだ。出直そう」
淡々としてるな?シェスから話は聞いてたが、クリス本当淡々と状況を把握したな?
「・・・えっと・・・ん?どういう状況だコレ?」
あ、シェスは混乱してんな?そりゃそうだな?
俺いつの間にか服も脱がされそうになってるしな?
オイ、コラ!ユーリィ!!
「どっちが怪我したんだ?見せてみろ」
「いや、大した事はない。少し手のひらを切っただけだ。薬だけもらったら直ぐに出て行く」
「何言ってるんだ?結構深く切れてる。そこに座ってくれ。手当するから」
お前な。何事も無かった様に・・・。
本当に、どうすんだコレ。
「え?テオそういう事なのか?え?マジで?」
「あーーーいやぁ。なんつーか」
まぁシェスだし周りに言いふらす心配はないけどな。
でも、ちょっと面倒になりそうだ・・・・。
「え?・・・じゃあ・・もしかして。やっちゃったの?お前ら(ボソリ)」
そうだな。
俺の場合、考える時間すら与えられなかったぞ?
良かったな?お前はまだ少し猶予がありそうで。
まぁそれも、いつまで保つかは知らないけどな?
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