この子の父と俺の関係は所謂セフレ。 セックスフレンド。 身体の関係。 どうしてそうなったって、それもまた愚かな俺がしでかしたのだ。 そう、初めから好きだった男にどうにか自分を抱いてくれなかとアピールしたのだ。身体だけの関係はどうですか？って。 俺は知っていた。 男には婚約者がいて、でも大切すぎて手が出せないことを。 だから、性欲処理に如何って。 初めは半ば無理矢理犯して、その後はまぁダラダラとこの関係を続けさせた。 最低な俺はゴムに穴を開けて、挿入させていた。あわよくばってやつだ。 まぁ、目の前の子を産んだのは普通にゴムつけずに中出しされたら妊娠してしまっただけだけどさ。 それで、あの男は言ったのだ。 「産んだら、俺が育てる。お前は好きにしていい。」 一緒に育てるという選択肢はなかった。 挙句、その周辺の大人達に言われた。 「婚約者は他にあるが、お前がもし産んだら、跡取りの保険としてこちら側が育てる。」 子を成したと分かった時、嬉しかった。 それと同時に、ああこの子をこの手で育てられないと絶望に浸った。 俺には親がない。 頼れる相手はいない。 知っていながら、俺はこの子を連れて逃げ出した。 だって、愛した男の子なのだ。 もう、仕方がないだろ。 そう言いつつ、今になってどれだけ愚かだったか気づく。 金がない。 仕事がない。 居場所がない。 最悪だった。 でも、初めて笑った子を見て 良かったと思ったのは、 きっと無責任だからだ。