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番外編 学生時代 突然の別れ

朝、目が覚めいつもどおり支度をし、学校へ向かう …あーしまった かなたの怪我治ったしもうこんな早く行く 必要はないのに 無意識にいつもの時間に家を出ていた でもまぁいいかという気持ちともしかしたらいるかもしれないという期待で足早に学校へ向かった いつもどおりの時間、場所にかなたがいる 「かなた、おはよう」 「…幹人、…おはよう」 …?いつもよりも暗い いつものようにかなたの隣に座る 「かなた今日いつもよりも暗いけどなんかあった?」 聞けば苦しそうに笑いながら言った 「…実はぼくまた引っ越しすることになって 違う親戚の家なんだけど今の学校通うのには遠いから転校することになって」 突然すぎる別れ 別にかなたが引っ越そうが俺には関係ない 何なら朝早く起きて学校へくる必要もなくなる でも…何故だが心臓がぎゅうっと締め付けられるような感じがする 「ん、…でも仕方ないことだろ 引っ越しするのいつ?」 「…結構すぐかな 転校手続き済んだらすぐに引っ越すんだ ご、ごめんね幹人に色々してもらったのに 何も返せなくて」 「…いや、別に大丈夫だから」 そこで会話が途切れ一緒にいるのが辛くなってその場から離れた それからかなたと話さなくなった         ーーーーー 「皆さん、席についてください 急ですが町田くんが転校することになりました …町田くん一言お願いします」 「は、はい えっと、短い間でしたがありがとうございました …また会えることを楽しみにしています」 「はい、みんな町田くんに拍手」 パチ、パチ、パチ… …まばらな拍手 頬杖をつきながら話が終わるのを待つ …何も言わないのもな そう思い紙のはしきれに 『放課後、いつもの場所で』 とだけ書いて町田が戻ってくる前に机の上に置く …柄にもないことをしているのは分かっている 別にかなたがいなくなろうが俺には関係ない けれど…         ーーーーー 友達に部活に遅れると言う旨を伝え、非常階段へと急ぐ 「あ、幹人…」 既にかなたが非常階段のところにいつものように座っている 「紙くれたのやっぱり幹人だったんだ えっと、どうしたの?」 俺も何でこんなことをしたのか分からない 俺は何を何をすれば、何をしようと 頭がグルグル回る 言いたいことはあるはずなのにそれが何か 分からない 「み、幹人?」 かばんをおろし中から紙とペンを出しさらさらと書き、かなたへと押し付ける 「…これ、俺の連絡先だから あー、なんつーか… なんかあったら連絡して」 言いたいことも書きたいこともこれではないと分かっているけど今はこれが精一杯 かなたはすごく嬉しそうに 「うん!ありがとう失くさないようにする えへへ…あっ、ごめんぼくもう帰らないと また連絡するね!」 そう言って手を振りながら走って帰っていった …はー、何してんだ俺 伝えたいことがあるはずなのに分からない 頭をガシガシとかきむしる 俺も部活行くか 動けばこのむしゃくしゃした感じもなくなるだろ そう思って部活へと行こうとすれば少し歩いたところに紙が落ちている 何気なく拾ってみれば俺がかなたにあげた 連絡先 「…おい、まてあいつ早速落としんじゃねぇか」 何なんだよ こんなときに見せるどんくささは

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