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番外編 学生時代 幸せ

いつも通り部活を終え家へと帰る道すがら 今日の飯は何にしようか… などと考えながら帰宅する 家の鍵を開けようとすれば ……?あれ、空いてる? 俺、今朝締め忘れたかな?などと思いながら家に入れば俺の靴ではない靴が二足 ……! 慌ててリビングへ入れば 「おお!幹人! どうしたそんなに慌てて」 「幹人おかえりなさい! やだー、すごく身長伸びてるじゃない」 久しぶりに会う父さんと母さん 呆然と立ち尽くしぼそりとつぶやく 「父さん……母さん……?」 「おいおい、幹人どうしたんだよ、 おばけでも見たような顔をして」 「仕方ないじゃない 久しぶりに会うんだもの、何年ぶりかしら」 幹人お腹空いたでしょ、ご飯にしましょう ちゃんと手洗えよ! 促されるまま手を洗い食卓につく ……これは、夢か?        ーーーーー 「いやー、幹人と話すのも久しぶりだな どうだ、学校は楽しいか」 「うん…… って父さんも母さんも仕事どうしたの?」 二人に聞いてみれば顔を見合わせニヤリと 笑う 「実はな、今までは仕事であちこち行っていたが俺たち二人とも本部勤務になってな 簡単に言えばもう家を離れて仕事する必要がなくなったってことだな」 「これからは毎日家から出勤するの ホテル暮らしとか長かったから家にいるのって違和感あるわねー」 「じゃ、じゃあ父さんも母さんも一緒に住むってこと?」 「昔みたいに三人で一緒に暮らせるぞ 幹人は一人が良かったのか?」 思いっきり頭を横にふる 嬉しくないわけじゃない でも急にすぎて頭が追いつかない 「はは、急すぎるよな ……よし!明日久しぶりに家族でご飯食べに行こうか 美味しいもの食べに行こう」 「あら!いいじゃない 明日土曜日だし幹人の予定がなかったら……」 「え、えっと俺は明日サッカーの練習試合 あるからそれ終わってからなら……」 「やだ!あなた、幹人がサッカーしているとこ見に行きましょうよ そういうの見たことないし」 「いいな!それって俺たちも見れるのか?」 「う、うん、たまに保護者も来てるし」 久しぶりに家がにぎやかで温かい 「よし!じゃあ幹人が練習試合終わったら だな、どこに食べに行こうか 幹人は何食べたい?」 「え、俺は何でも……」 父さんが俺の頭をグシャグシャにしながら 撫でる 「ちょっ!何!」 「幹人はもっと自分の気持ちに素直になれよ 俺たちが今まで甘えさせられなかったってのもあるけどな こうしたい!とか言うの言葉にしないと分からないからな 遠慮なんかするな!」 「そうよ、今更遅いけどたくさん甘えていいのよ いつも一人で頑張ってるんだからこんなときぐらいわがままとか言ってご覧なさい」 ……わがまま したいことを伝える…… 俺が黙ってしまったら 「まぁ、難しいよな これからゆっくりやっていけばいい 時間はまだまだあるんだから 幹人、辛いもの好きだっただろ? 辛いものを食べようか」 「じゃあ最近このあたりに出来た韓国料理のお店はどう?美味しそうじゃない?」 「ここなら歩いてでも行けそうだな 最近運動不足だから体動かさないと」 「昔みたいに三人でサッカーでもする? 私たち全然できないだろうけど」 「……母さん、昔から運動下手だったじゃん」 「やだ、そんなことないわよ!」 昔みたいに三人で笑ってたくさん喋った ……この日が今までで一番楽しい日だった

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