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第37話
「…、…と、みき…、幹人?」
ハッとなり顔をあげる
かなたが不安そうに俺を見ている
「幹人、大丈夫?
顔色悪い…うえっくしゅっ、…さむっ」
怖い思いしてかなたの方が辛いはずなのに
それよりも俺の心配をして
俺は…かなたのことを傷つけたいわけじゃなかった
こんな思いさせたいわけじゃなかった
俺は…俺は…
「…ごめん、かなた、俺は…
…こんなことしたいわけじゃなくて…」
かなたに謝りたい、伝えたいのに
…謝れない、伝えられない
「幹人!」
かなたが抱きついてくる
「…どうしたの」
「あー、えーっと…、あ!
そう、おれが寒いから!」
ぎゅぅっと抱きついてくる
いつもなら抱きしめ返すけど今の俺がそんなことを…
…していいわけない
かなたが抱きついたまま話す
「…別におれ、幹人が何しても離れたりしないよ
おれ、幹人と一緒にいるのも、幹人と話すのも、幹人のことも……好きだし」
寒さのせいだけではないだろう
耳を赤くしてかなたが言う
「んん…幹人、おれ腰抜けたから抱っこして
…おれたちの家、帰ろ?」
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